販管費にメスを入れる!税理士が提案すべき顧問先の経費削減
多くの中小企業の経営者は、利益を上げたい、資金繰りを改善したいと考えています。ただ、自分たちだけではどうしてよいのかわからないため、「誰か」に協力してほしいと思っています。税理士のみなさんは、その「誰か」になれる立場にあります。本記事では、利益を上げ、資金繰りを改善するための大切な施策について説明したうえで、無料で使える資金繰り改善ツールを紹介します。
資金繰り改善には売上向上よりも経費削減
ゼネラル・パーチェス株式会社とMikatus(ミカタス)株式会社は共同で、「いま、なぜ税理士が『資金繰り支援』をすべきなのか」と題したオンラインセミナーを6月17日(木)に開催しました。ここでは、顧問先のキャッシュフローを改善する具体的な施策が示されたゼネラル・パーチェスのパートについてご紹介します。
ゼネラル・パーチェスのパートには、同社の執行役員を務める赤名武志さんが登壇しました。
「顧問先のキャッシュフロー改善施策」と題したパートの冒頭で、赤名さんは税理士業界の現状について述べたうえで「税理士事務所がなぜ資金繰りを支援すべきなのか」という話題に触れました。
税務申告や記帳代行といった税理士の従来の業務は、AI(人工知能)に代替されていきます。また税理士の数が増え続ける一方で、その顧問先である中小企業は減少の一途をたどっています。税理士が高齢化している問題もあります。税理士業界は今、存続の危機にあると言っても過言ではありません。
赤名さんはこうした状況を説明したうえで、次のように述べました。
「昨今、世間一般に税理士事務所は中小企業に対して本当の価値を提供しなければ生き残っていけないという声もあります。一方で税理士は中小企業の経営者に誰よりも寄り添うことができる存在です。この強みを生かせば、①経営者の悩みや不安に寄り添う、②数字でビジネスを支える、③経営者に気づきを与える、ことができます。これこそが本当の価値だと私たちは考えます」(赤名さん)
本当の価値を提供するには、次に示す三つの段階があると赤名さんは指摘します。
- 第一段階:税務申告や記帳代行といった従来の業務
- 第二段階:キャッシュフローの可視化および改善のコンサルティング
- 第三段階:利益の創出を手助けするコンサルティング(実行支援)
第三段階については「売上を上げる」方法と「費用を下げる」方法の二つがあり、税理士と一緒にこれらに取り組んでいきたいと思っている経営者はたくさんいると赤名さんは言います。
「第三段階、すなわち実行支援の中で、売上を上げる方法と費用を下げる方法のどちらが資金繰り改善に有効かという論点がありますが、実はこれは非常に明快です。中小企業に対して資金繰り改善の実行支援まで行うケースでは、まずは費用を下げるほうが正解です。なぜなら売上を上げるための知見は企業の中にあり、社外にはないからです。仮にここにメスを入れて一時的に売上を上げることができたとしても、継続するには難しい面があります。また時間対効果、すなわち効率は経費削減のほうが劇的に良いことも大きな理由の一つです。つまり経費削減には即効性があるのです」(赤名さん)
例えばゼネラル・パーチェス社の顧客に、営業利益率が1.5%の卸売業者がいるそうです。この企業は赤名さんたちの支援により、複合機のリース料金を年間10万円削減することに成功しました。オーナー社長は「たった10万円の削減か」という感想を漏らしましたが、「社長、ちょっと待ってください。この10万円を営業利益率で割ってみてください」と赤名さんは切り返したと言います。
「削減した10万円を営業利益率の1.5%で割ると約667万円。つまり約667万円の売上向上に値する金額なんです。『社長、667万円の売上を捨てるんですか?』と私は言いました。すると社長は表情を変え、『複合機だけでなく他のところも見てほしい』とおっしゃったんです」(赤名さん)
この例からも、実効性という意味でも即効性という意味でも、経営者以外の「誰か」が企業に対して実行支援をする際には、売上を上げるよりまずは経費削減を目指すほうが利益の創出や資金繰り改善には得策であることがわかります。
経費削減では販管費の中の固定費にメスを入れる
経費削減に取り組む場合、販管費の中の固定費から取り掛かるのが王道だと赤名さんは指摘します。
ご存じのように、企業の費用構造は原価と販管費に分かれます。原価については、例えば製造業における資材費のように、それに関するプロフェッショナルが企業内に存在していることが多く、部外者が役に立つことは難しい領域です。
一方の販管費は人件費とそれ以外の固定費に分けられます。人件費については、どの業種でも費用に占める割合が大きい費目ではあるものの、安易に削減すると企業の売上全体に悪影響を及ぼす可能性があります。したがって原則として、もう一方の「人件費を除く固定費」が最も削減しやすい項目になります。
こうしたことを指摘したうえで、「顧問先の規模や業種によってどのような経費が削減できるのかを見極める必要があります」と赤名さんは話します。
「弊社のこれまでの経験から言えることは、効果の出やすい企業の規模は年商1億円以上、従業員数5名以上。さらに効果を望むなら、数億円から数十億円の年商がある企業だとなお良いと思います。もちろん、年商が1億円に満たない企業でも、先ほどの卸売業者のようにインパクトを与えることは可能です。また製造業やホテル、病院、介護施設、商業施設など、水道光熱費を多く使う業種は固定費を削りやすい傾向にあります」(赤名さん)
一方で、経費削減は自然にできるものではなく、それに取り掛かる従業員の時間や手間、すなわちコストがかかります。経費削減に費やすコストは表に出ないので、経営者は把握していないことが多いのだそうです。経営者が気づきにくいにもかかわらずコスト、すなわち手間と時間がかかるという点で、多くの企業は経費削減に取り組むのは大変だと思っているのです。
このように大変な作業を伴う顧問先の経費削減を、税理士だけが支援するのは現実的ではないと赤名さんは言います。その理由は二つあります。
- 税理士は税務の専門家であり経費削減のプロフェッショナルではない
- すべての顧問先に対して丁寧に経費削減のコンサルティングをする時間的余裕がない
では、税理士はどうやって顧問先の経費削減を支援していけばよいのでしょうか?そこで効果を発揮するのが、ゼネラル・パーチェスが提供する「コストドック」というサービスです。
無料で使えるコスト分析サービス「コストドック」
コストドックは企業のコスト分析と収益改善をワンストップで行えるサービスで、2020年4月のローンチ以来、350以上の税理士事務所・会計士事務所に導入されています。
具体的には、今使っている販管費の中から電気料金、複合機、携帯電話、固定電話・インターネット回線など約30項目についてコスト分析(現状把握)することができ、そのあとの経費削減までを包括的に進めることが可能です。
コストドックを使うことで複合機だけ、携帯電話だけということではなく、顧問先の販管費の経費削減を丸ごと引き受けることができるのです。
「企業は販管費を削減して捻出した予算を広告費や人材育成、人材採用など、成長のための前向きな投資に振り替えることができます。社内の販管費から未来に活かせるキャッシュをどれだけ生み出せるかを可視化できる点がコストドックの特徴です」(赤名さん)
また税理士事務所および顧問先はコストドックを無料で利用できる点も見逃せない特徴の一つです。
「弊社は、電力や携帯電話・固定電話、複合機などを提供する300社以上のサプライヤーから委託費を受け取るビジネスモデルとなっており、税理士事務所やその顧問先からはサービスの使用料を一切いただきません」(赤名さん)
すでに約3,500社の企業で経費を削減した実績を持ち、その80%以上が売上高50億円以下の中小企業が占めるそうです。赤名さんは最後に「コストドックは税理士業界から日本の中小企業を強くする、という想いで生み出されたサービスです」と述べ、セミナーを締めくくりました。
※ Mikatus株式会社は2022年9月30日をもちまして、当社の完全親会社であるfreee株式会社と合併いたしました。
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