コロナ禍で働き方改革が急進!税理士事務所はどう対応するべき?
新型コロナウイルスの感染拡大は、税理士事務所の働き方にも大きな影響を与えています。今後を見据え、テレワークや在宅勤務を導入しようと考えている税理士の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、そのような方へ向けて「コロナ禍で働き方改革が急進!税理士事務所はどう対応するべき?」と題し、お役立ち情報をお届けします。
オンライン会議の上座はどこ?話題になった議論とその顛末
コロナ禍の今、離れた場所でもコミュニケーションがとれるオンライン会議は身近になりつつあります。そうした動きに比例して、オンライン会議にまつわる議論も活発になりました。
たとえば「オンライン会議では何分前に集合したらいいのか?」「服装はどこまで気を付ければいいのか?」など、マナーに関する議論もその一つです。その中でも最近話題を集めたのは、「オンライン会議の上座はどこか?」という議論です。
この議論、当初は新時代到来の足をひっぱる古いマナー意識だとネットニュースで話題になっていました。ところが2020年9月、オンライン会議システムの「Zoom」が上座機能を追加したことで状況が一変。会議の度に上座の設定で時間をとられていたユーザーのストレスが解消されるとともに、使い勝手がよさそうな機能だとの評判が広まっています。
働き方改革の切り札としてのテレワーク
2017年から、総務省、厚生労働省、経済産業省など複数の中央省庁の連携によって行われている「テレワーク・デイズ」という取り組み。この中でテレワークは働き方改革の切り札として位置づけられています。では、政府の取り組みとして具体的にどのようなことが発表されているのでしょうか。
「テレワーク・デイズ」の発表資料によると、近年のテレワークには2つの変化が見られます。
変化の一つは、制度のあり方です。従来のテレワークは福利厚生的な使われ方であったのに対し、最近では経営戦略として認識されるようになりました。すなわちテレワークは、あればいい制度から、なくてはならない制度へと変化しているのです。
もう一つの変化は、テレワーク制度の対象者です。従来は育児・介護者など一部に限定されていましたが、最近では全社員が対象となりました。テレワーク制度の対象者について、もはや垣根がなくなっています。
また、「テレワーク・デイズ」の発表資料では、テレワークにより生産性が1.6倍向上した事例なども取り上げられています。テレワークは、新型コロナウイルス感染症対策としてはもちろんのこと、生産性向上の面からも導入効果が期待できるのです。
このように働き方改革の切り札として、テレワークは日本全国で大きく推進されています。
>>関連記事:会計事務所のテレワークは何から始める?在宅勤務のポイントとおすすめツール
コロナ禍で働き方改革が急進!税理士がおさえるべき3つのポイント
では令和の時代、税理士事務所がテレワークや在宅勤務を取り入れる際には、どういった目線が必要なのでしょうか。おさえるべき3つのポイントを順にご紹介いたします。
1:テレワークは、withコロナとafterコロナで考える
withコロナ(ウィズコロナ)とは、ワクチンがまだない中で、3密回避などの手段で感染拡大を防ぐ、現在の状況です。それに対しafterコロナ(アフターコロナ)とは、ワクチンなどである程度コロナ禍をコントロールできるようになった状況を指します。
テレワークを考える際は、withコロナとafterコロナの2つの視点が必要です。つまり、目下の対策と中長期の対策、その両方を検討する必要があります。
たとえば、オンライン会議の導入を検討する際は、顧問先と会うことが制限されているwithコロナの視点から、どのように運用していくかを検討することになるでしょう。加えて、afterコロナの視点から、オンライン会議の運用開始が、長期的に見て顧問先との面会にどのような影響をもたらすかも同時に検討しなければなりません。
2:在宅勤務は、顧問先、事務所、スタッフの三方良しで考える
在宅勤務を導入するかどうか、導入するとしたらどの程度とするか、税理士事務所だけでなく、おそらく日本中の企業が考えていることでしょう。考える際のポイントは、顧問先、事務所、スタッフの三方良しです。
例えば顧問先からオンライン会議ではなく、実際会いたいと要望があったとします。お客様の要望ですから応えないわけにはいきません。しかし同時に、事務所としてのリスクやスタッフの健康面を思うと、戸惑いを感じることもあるのではないでしょうか。
このような場合、顧問先との取引関係を見直し、ときには断る勇気が求められるのかもしれません。コロナ禍においては、お客様ファーストを掲げていればよかった従来と異なり、顧問先、事務所、スタッフの三方良しで考えなければならないのです。
3:基本業務は真っ先にクラウド化を図る
オンライン会議のみならず、インターネットを使って情報をやり取りできるクラウドサービスは、コロナ禍により急速に普及しています。そしてこのようなクラウド化の動きは、働き方改革にも大きな影響を与えています。コロナ禍とクラウド化、この2点は働き方改革が急進している要因となっているのです。
税理士事務所のテレワークや在宅勤務を考えるとき、最大のポイントとなるのは、会計や給与、税務などの基本業務のクラウド化を図るということではないでしょうか。
従来、税理士事務所においては事務所にサーバーを設置するオンプレミスの会計専用機しか選択肢がありませんでした。しかし近年では、安心して利用できるクラウドサービスが登場してきています。その中には、会計、給与、税務など税理士事務所で必要となる業務一式がオールインワンで揃ったクラウドサービスもあります。
顧問先に会うことが制限されている今、オンライン会議のシステムのようなクラウドサービスの活用を検討することも急務ではあります。しかしそれと同時に、税理士事務所においてテレワークや在宅勤務を導入するのであれば、基本業務である会計、給与、税務のクラウド化もそれ以上に大切なのです。
税理士事務所におけるテレワークの実態調査からわかること
実際のところ、テレワークや在宅勤務について税理士事務所ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。
いい税理士が集まるメディア「Lanchor(ランカー)」の運営元であるMikatus株式会社では、2020年5~6月にかけて全国の税理士事務所のみなさま177名(うち税理士146名)を対象に、新型コロナウイルス感染拡大の影響とテレワーク導入に関する実態調査を実施しました。
【調査結果のポイント】
- 影響を感じている税理士事務所は69%
- 過半の税理士事務所がテレワークを導入済み
- 85%の税理士事務所は課題があってもテレワークを運用できていると回答
この調査では、過半の税理士事務所がテレワークを導入済みであることが明らかになりました。日本税理士会連合会(日税連)が4月上旬、テレワーク導入を推進する方向性を示したことも、少なからず影響しているものと思われます。
「テレワークを始めるために、どんなクラウドサービスを導入したのか?」「運用している税理士事務所ではどんな課題を抱えているのか?」
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多くの税理士事務所にとって、働き方改革とは未知なる領域へのチャレンジともいえるのではないでしょうか。大変な状況ではありますが、苦難に負けず知恵を合わせ工夫してがんばっていきましょう。
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