適正な顧問料、受け取るための「はじめの一歩」とは?
2019年4月、わたしたちは「いい税理士」と「適正な顧問料」の関係に迫るべく、事務所経営がうまくいっている「いい税理士」さんにお集まりいただき、「『適正な顧問料』を手にするために必要なこと」というテーマで座談会を開催しました。
その座談会の中で見えてきたのは、「適正な顧問料」を受け取るためには3つの条件がある、ということです。その3つの条件を満たすために、まずは最初にやるべきことは何なのか。お伝えしていきたいと思います。
税理士の顧問料報酬は減少傾向にある
税理士の顧問料報酬は減少を続けています。「税理士実態調査集計報告書」を見ても、過去20年間において、法人からの顧問料報酬について「4~5万円以下」の回答率が減少している一方で、「2~3万円以下」の回答率が増加していることが伺えます。
個人からの顧問料報酬についても、減少傾向にあることが見て取れます。こちらも「4~5万円以下」の回答率が減少しているのに対し、「1万円以下」「2~3万円以下」の回答率は増加しています。
しかし、顧問料の相場が下落を続ける一方で、しっかりと稼いでいる税理士さんもいらっしゃるようです。その秘訣はどこにあるのでしょうか。 座談会で見えてきた「適正な顧問料」を受け取るための条件について見ていきたいと思います。
「適正な顧問料」を受け取るための3つの条件
座談会の中で、「いい税理士」が顧問先から「適正な顧問料」を受け取るための条件が見えてきました。それは、「独自性のあるサービス力」、「提供価値への自信」、そして、「明るさ」の3つです。
1.独自性のあるサービス力
適正な顧問料を受け取るための条件の1つ目である「独自性のあるサービス力」とはいったいどのようなものなのでしょうか。座談会でのみなさんの話に共通していたことは、次の2つを明確にすることでした。
- 事務所としての強みは何か?
- その強みを理解し、価値を感じてくれる経営者(ターゲット)はどんな人か?
それでは、座談会に参加された「いい税理士」の方々の事務所の強みを伺ってみましょう。
みなさん、ご自身の強みを把握したうえで、その「強み」に価値を感じてくれる経営者をお客様とされています。
座談会では、「自分たちの価値を理解してもらえないお客様と、無理に付き合うことはしない」という声が何度か上がっていたのが印象的でした。
価値を提供しているという「健全な自信」の積み上げが秘訣
座談会では、「独自性のあるサービス力」に加えて、「顧客に価値を提供している」という、絶対的な自信をみなさんから感じることが出来ました。その自信があるからこそ、自らのサービスに高い料金を設定できるし、値下げ交渉に対しても弱気になることなく正々堂々と応対することができるのではないでしょうか。
今はお客様に満足していただけることも多く、自信をもって金額を伝えることができています。そのようなサービスを提供し、それでもお客様から「他の税理士に変えます」と言われるのであれば、しょうがない、そう思えるようにお客様と向き合っています。
「スタッフの人件費もあるので、これくらいは料金をいただきます」と、あたりまえのように言います。申し訳なさそうに弱々しく言うなんてことはしません。「高いから」という理由で離れていくお客様はほとんどいないですね。一生懸命やっているということが、お客様にも伝わっているのだと思います。
みなさんの自信の源泉は、お客様の課題や悩みと向き合う「顧客志向」。そして、お客様のために一生懸命に働くという「日々のハードワーク」にあります。いかにお客様のことを考え、自分や事務所としての想いを伝えているか。その積み重ねが自信に繋がっていくようです。
中小企業の経営支援は領域が非常に広く、やろうと思えばどこまでも広がっていってしまいます。だからこそ、どの領域で自分たちは勝負していくのか、自らのドメイン(事業領域)を決めることが重要になります。それが「強み」や「ターゲット」に繋がるのではないでしょうか。
そして、もし自分たちが提供するサービスの価値を理解してもらえないのであれば、そのお客様とはお付き合いをやめてもいいという覚悟。つまるところ、「これだけのことをやるから、これだけの料金をください」、「ここまでやってご満足いただけないのであれば、どうぞよそへ行ってください」と言えるか言えないか、その自信と覚悟があるかどうかが決め手になると言えます。
「適正な顧問料をいただけない」という悩みをお持ちの方は、まずは事務所の「強み」から見つめなおしてみることを「はじめの一歩」としてみてはいかがでしょうか。
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