「いい税理士」とは何か? AIなんかに負けない税理士の真価

「税理士や会計士はAIに代替される」
AIを筆頭としたテクノロジーの進歩に伴い、税務や会計といった「従来の税理士」業務の価値は下がり続けています。
しかし、税理士の真の価値とは「中小企業の経営に寄り添える存在である」という点にこそあります。税理士は、経営者にとって最も身近な第三者です。さらに、会社のお金の流れだけでなく経営者の収入さえも把握できる立場にいます。だからこそ、中小企業に対して価値を提供することができます。

では、具体的にはどのような税理士がAIに負けない価値を提供できるのでしょうか。今回は、Mikatus(ミカタス)が考える「いい税理士」像について、お伝えしたいと思います。

税理士には、AIに取って代わられない価値がある

中小企業の事業活動に伴うお金の流れを正確に記録し、決算書からルールに沿って税金を計算して申告書を作成する。「従来の税理士」の仕事は、専門知識を必要とするものの、そのほとんどは「正解」が存在します。つまり、知識さえあれば誰でも、それこそ機械であっても「正解」にたどり着くことができるのです。
「正解」が存在する仕事のオートメーション(自動化)は、様々な分野で普及しています。そして、ほぼすべての仕事において、機械は人間よりも早く正確に数字を計算することができます。税理士の世界でも自動化が進んだことにより、「従来の税理士」の価値は徐々に下がってきています。

しかし、企業経営者にとっての、税理士や会計事務所の本質的な価値は別のところにあります。
税理士の本当の価値は「中小企業の経営に寄り添える存在である」という点にあります。税理士は、会社が保有している現金やその他の資産はもちろん、ビジネスにおけるお金の流れも把握しています。経営者が本当は他人に知られたくないような数字や情報を、税理士は信頼のもとに託されているのです。

経営者の信頼に応えられるかどうか それが税理士の真価

それでは、税理士はその経営者の信頼にどう応えるべきなのか。その答えにこそ、税理士の真価があります。

経営者の信頼にこたえるためには

経営者が事業を継続するために日々考えることのうち、税金に関する部分は1割もありません。今後の事業展開や資金繰り、他社との差別化、そして社員の育成や採用といった、いわゆる経営全般に関わることが、全体の9割を占めているのです。
もちろん、税金の計算をする、税務申告を代行する、節税の提案をする、それらも税理士の大切な仕事です。しかし、経営者からすれば、税金は経営全般に含まれる「資金繰り」という項目の中の、さらにその一部でしかありません。

企業の財務状況を把握できる税理士は、経営者に代わって資金繰りをチェックしたり、資金を増やすための打ち手についてアドバイスをすることができます。たくさんの中小企業を顧客に抱え、いろんな企業のビジネスを見てきた税理士は、経営者の壁打ち相手になることもできます。
税理士は、経営者が日々考えている9割の領域に踏み込んで支援することで、経営者からの信頼に応えることが出来るのです。
そして、それこそがAIに取って代わられることのない、税理士の真の価値なのです。

税理士の真価を定義した「いい税理士」

私たちが考える「いい税理士」とは、1割の税金の相談に乗ってくれる人ではなく、9割の経営全般について一緒に考えてくれる税理士を指します。
税理士さんの関与によって、一社でも多くの中小企業が幸せになってほしい。そう願うMikatusが、税理士さんに「こうあってほしい」という想いを込めて、掲げているのが「いい税理士」なのです。

では、その「いい税理士」とはいったいどんな税理士なのか?それを具体的な言葉で定義したのが

「事務所として、中小企業の業績向上に貢献する、魅力あふれる税理士」

です。

中小企業の業績向上に貢献することこそが、税理士の最大の価値である

「中小企業の業績向上に貢献する」という言葉には、「いい税理士」はこうした気概を持って中小企業に向き合ってほしい、という想いを込めています。
「業績」とは、「事業で成し遂げた実績」を意味しています。売上や利益の向上だけでなく、事業を通じて会社の「現金」が増えた、役員報酬が上がった、といった成果も立派な業績向上といえます。
「業績向上に貢献する」といっても、税理士が直接的に経営に関わる必要はありません。大切なことは、経営者に「気づき」を与え、経営者自らが動くように導くことです。

経営者のやりたいことをヒアリングして理解するだけでなく、一緒に考える。経営者のビジネスや想いを実現するための道のりや、経営判断の根拠を数字でわかりやすく提示する。そして、壁打ち相手になることで経営者の頭の中を整理し、新しい視点を与える。
様々な方法で、いかに経営者に腹落ちさせて実際に行動してもらえるか。その結果として、中小企業の業績アップにつなげられるか。それが「いい税理士」の至上命題です。

自分だけが「いい税理士」であればいいのか?

しかし、税理士個人が中小企業の業績アップに貢献していればいい、というわけではありません。代表税理士が一人で関与できる顧問先の数はせいぜい10~20社くらいが限界です。
「いい税理士」は、その価値をより多くの中小企業に提供しなければなりません。そのためには、事務所という「組織」で価値を提供する仕組みが必要です。つまり、「中小企業の業績アップに貢献する」という想いを共にしてくれる仲間を集め、育成しなければいけません。

税理士であると同時に事務所の経営者である

これが、「事務所として」という言葉に込めた想いです。
「いい税理士」は、個人ではなく、自分の事務所全体で中小企業の業績アップに貢献しなければなりません。そのため、プレイヤーとしてだけでなく、事務所の「経営者」としての視点が必要になります。
事務所のスタッフに対し、自分たちが何を目指すべきなのかを明確にする。自らがコミットして、スタッフの成長をサポートする。そして、達成した成果に対する富(報酬)を、スタッフにも還元して共に豊かになる。
税理士としての仕事に追われるのではなく、経営者としてスタッフを育成し、事務所全体で中小企業の業績アップに貢献するための仕組みを考えていかなくてはいけません。

高い人間性と社会貢献への意識

「この人の言うことだったら聞いてみよう」
「この人のためだったら頑張ってみよう」
「この人についていきたい」

顧問先や事務所のスタッフから、そのように思ってもらえるのが「いい税理士」の理想形です。では、理想に近づくためにはどうあるべきなのか。その答えが「魅力あふれる」という言葉です。
常に明るくて前向きな気持ちにさせてくれる。人としてあたり前のことをあたり前にできる。顧問先やスタッフに対して献身的なサポートをしてくれる。そして、新しい税理士としてのあり方を常に探求し、リスクを取ってでもチャレンジしていく。
そのような「高い人間性」をもつ税理士であればこそ、顧問先からもスタッフからも信頼を集められるのです。

そして、「いい税理士」なのであれば、自分の顧問先の業績アップに貢献することだけに満足してはいけません。たとえ自分の顧問先ではない中小企業であっても、その業績アップに貢献する、という気概が求められます。
「いい税理士」を志す他の事務所が、中小企業の業績アップに貢献することができるようになる。そうすれば、自分の事務所のキャパシティを越えて、より多くの中小企業が「いい税理士」の恩恵を受けることができます。

自身の知識やスキルを惜しみなく提供し、協力し合うことで税理士業界全体を良くしていく。そして、税理士を若者が憧れる職業にする。そのような「社会貢献への意識」を持っていることが「いい税理士」の条件といえます。

「いい税理士」をあたりまえに

税理士さんに「こうあってほしい」という想いが込められた「事務所として、中小企業の業績向上に貢献する、魅力あふれる税理士」。これがMikatusの考える「いい税理士」であり、AIに負けない税理士の真価です。

「いい税理士」が増えることで、より多くの中小企業が幸せになることを心から願っています。

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