病に倒れた父からのバトンを受け取り、10年で売上倍増に成功

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氏名:丸山拓哉/生年月日:1981年11月11日/趣味:ゴルフ/特技:フットワークの軽さ/好きな科目:相続税、国語

52歳で脳出血に倒れた父の後を継ぎ、10年で事務所の売上と顧問先数を倍増させた税理士がいます。京都府舞鶴市を拠点とする丸山税理士事務所の丸山拓哉さん(代表)です。丸山さんの軌跡を辿ります。

マイナス要素を抱えての出発

税理士としての僕の船出は、順風満帆でもなければ前途洋々でもありませんでした。

税理士をしていた父が病に倒れ、都会の税理士事務所への就職をあきらめて隣町にUターンした僕。24時間看護が必要な父に寄り添いながら税理士試験の勉強は続けましたが、福井県の片田舎での看病と勉強の日々は陰鬱で、精神的にも辛いものでした。

同じ頃、都会で華やかな生活を送る大学時代の同級生たちを思うと羨ましくもありましたが、自分にできることをやろうと前を向くことに決めたんです。

卓球がダメなら勉強で目立とう

そもそも僕は、名田庄村(現おおい町)という福井県の田舎で生まれ育ちました。京都府舞鶴市の隣村です。

税務署の職員だった父とパート勤めの母、2歳上の姉、それから農業を営む祖父母の6人家族。家を空けることが多かった両親に代わり、祖父母の溺愛を受けて育ったことを記憶しています。僕の小さな成功は祖父母に過大に褒められ、努力は必ず実を結ぶと刷り込まれたのかもしれません。

遊ぶ時は遊ぶ、やる時はやる。小学生の頃からそんな性格でした。卓球にハマったのも小学生時代です。将来は卓球で有名になってやるぞ、と夢を見ていました。控えめな性格でありながら目立つことが好きだったんです。

中学に入っても卓球は続けましたが、その頃になると伸びしろがあまりないことに気づき、卓球ではなく勉強の成績で目立つようにシフトチェンジ。幸い、志望校に合格し、同じ高校に通う姉がマネージャーをしていたレスリング部に入ります。

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52歳で病に倒れた父、垂れ込める将来の不安

競技人口が少ないこともあり、団体で二度、インターハイに出場する機会に恵まれました。高校時代は1、2年生の時に部活をしながら遊ぶだけ遊び、3年生で猛勉強して帳尻を合わせました。都会への憧れがあり、第一志望だった京都市内にキャンパスのある大学へ進学します。

遊ぶ時は遊ぶ、やる時はやる。大学に入ってからもその性格は変わらず、2年までは遊び、3年から進路について真剣に考えるようになります。

退官税理士となっていた父の影響だったか、あるいはやはり会計業界の道に進んだ姉の影響だったかもしれません。僕自身もダブルスクールで税理士試験の勉強を始め、在学中に2科目に合格。大学を卒業した後も専門学校に通い、2年で残り3科目合格を目標に歩もうとしていました。

そこで父が脳出血で倒れたんです。

急いで病院へ駆けつけました。幸い、父は意識を取り戻しましたが、重度の後遺障害が残るため以前のような仕事は無理だと医師から告げられました。父はまだ52歳の若さでした。

僕は京都のアパートを引き払い、アルバイト代で買った単車も売りました。当時、実家には要介護者の祖父もいましたから贅沢はできません。父の看病で訪れた病室の薄明かりの下、「今の自分にできるのはこれしかない」とひたすら勉強に励みました。未来に明るい展望は描けず、目の前のことにただただ集中することにしたんです。

お詫び行脚から始まった税理士事務所勤務

僕が税理士登録したのは平成21年2月。父の事務所に入所したのは、その4年前の平成17年のことです。父が6ヶ月間の入院期間を経て事務所に戻ったタイミングです。

入所してまず行ったのは、重度の後遺障害を抱えた父に代わり、顧問先へお詫びをすること。「できの悪い二代目が事務所を潰す」とか「お前が税理士になっても何の役にも立たない」とか、はじめは厳しい言葉もいただきました。実際に離れていくお客様もいました。

しかし謝るべきは実直に謝り、悔しさはパワーに変え、寝る間を惜しんで仕事を覚え、試験勉強に励みました。当時の僕を支えたのは「勉強し過ぎて死んだ人はいない」というビジネス書の一節。そして27歳で税理士に登録をした時、今まで見えていなかった将来の展望がおぼろげながら見通せるようになったんです。

僕は父の事務所を承継しました。平成24年、ちょうど30歳の時のことです。

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10年で顧問先数と売上を倍増させた手腕

僕は常日頃から親切・丁寧に対応しよう、とスタッフに伝えています。"先生商売"で顧問先の満足をおざなりにしてほしくないからです。また税務的な判断をする際、しっかりエビデンスを示すようにも言っています。この二つは僕自身の信条であり、事務所全体の指針でもあります。

例えばこんなエピソードがあります。

ある法人のお客様に顧問業務だけでなく社長の所得税の申告を行い、社長が亡くなった時に相続税の申告も行いました。後継者へスムーズに事業承継ができ、とても喜んでいただいた記憶があります。その会社はもちろん今でも顧問先です。このように中小企業の社長に関するすべての税目に関わり、長い期間サポートさせていただけるのが強みです。

僕たちが事務所を構える舞鶴市、いわゆる地方の田舎都市では、短期間で税理士を代えるよりも、一人の税理士と長く付き合う土壌があります。仕事上だけでなく、地域の異業種団体や、プライベートでもお客様にお付き合いしています。飲みに行くのはもちろんのこと、ゴルフや旅行をご一緒することも珍しくありません。

そうした地域密着の活動をした結果、お客様の数も増えてきました。僕が税理士登録した平成21年の時点では、規模を問わず全関与先数が240件ほどだったのが、今では508件まで伸びています。

営業活動をしたことがないですし、スタッフにも営業をするように言ったことはありません。お客様が増えたのはすべてご紹介と口コミです。

スタッフが顧問先の発展のために日々の業務に取り組んでくれていることと、広告塔である僕自身が地域の色んな団体に所属していることが関係していると思います。

Uターンと言えども県をまたいだ隣町で働くことになりましたので、知り合いは誰もいません。こうした団体で知り合いになった方々のおかげで今があります。

腕時計や書籍などとは違い、税理士を選ぶ時は商品を手に取るわけにはいきません。ですから紹介者である方と自分やスタッフとの信頼関係が何よりも大切です。さまざまな方が「それなら丸山さんの事務所がいいよ」と推薦していただけるので、とてもありがたく思っています。

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目標はスタッフの質を上げ良いサービスを提供すること

僕も経営者なのでよくわかるのですが、結局、どれだけ社長と仲良くなっても、実を伴っていないと見限られてしまいます。お客様の末永い発展をサポートできること。税理士に求められる素養はこの一言に集約できるのではないでしょうか。

そのためには、どんなに些細なことでも相談に乗れる関係性を築くことだと思います。僕は子供の頃からフットワークが軽く相手の意見を聞くことが好きで、気づけば人の懐に入るタイプだったので、それが活かせているのかもしれません。社長がベストな答えを導き出せた時や、前向きに仕事に取り組んでいけるようになった時は、心の底から達成感を覚えます。

税理士登録をして10年間くらいは、自分が何歳の時にどのくらいの売上規模にしたい、という数値目標を立てていたのですが、おかげさまでだいたいクリアできました。今は数値目標を追いかけるのではなく、事務所の良い評判を落とさないよう全13名のスタッフの質を上げていくことを目標にしています。

お客様が増えてくると新しいスタッフを迎え入れることになります。新しいスタッフも含めて質を上げていきたいと思っています。闇雲に売上だけを増やしても、お客様から不満が生まれてしまったら本末転倒ですし、悪い評判はすぐに広がっていきます。しっかりと良いサービスを提供した結果、お客様が増えていくことが地域貢献だと思っています。

税理士はチャンスの多い仕事です。やりがいもあります。中小企業の業績向上に貢献する「いい税理士」を目指していけば、需要はどんどん増えていきます。もっともっと魅力的な資格になるよう、業界の末席でがんばっていきたいと思います。

*     *     *

父の罹患により急遽、隣町にUターンして父の事務所を承継した丸山さん。かつては都会での生活に憧れを抱いていましたが、今は「舞鶴もいいです」と語ります。10年で事務所の売上を倍増させた手腕で、今後も中小企業の業績向上に貢献していくことでしょう。

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