98%の税理士が手を出さないブルーオーシャン 中小企業の事業承継M&Aの今

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社

宮前直征さん

2020年より、中小企業経営者の多い団塊の世代が70歳に差し掛かっています。後継者がいない中小企業は少なくなく、このことを背景に中小企業におけるM&Aが注目を集めています。

今後、ますます増加することが見込まれる中小企業M&Aに、税理士はどのように取り組むべきなのでしょうか?この点を明らかにすべく、税理士などの専門家向けにM&Aのマッチングサービスを提供するデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社の宮前直征さんに話を聞きました。

デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 宮前直征さん
コンサルティングファームで10年間、税理士、社労士、司法書士、弁護士向けに営業、マーケティング、業務効率化の支援などに従事。現職ではM&Aマッチングプラットフォームサービス 「M&Aプラス」 の普及活動に携わり、関西圏を中心に会計事務所などの会員獲得とアライアンス強化に取り組む。
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右肩上がりで増えているM&Aの実施件数

Q.そもそもM&Aとは何でしょうか?

宮前さん(以下、宮前):直訳すると企業の「合併と買収」という意味になります。合併には新設合併と吸収合併の二つがあり、どちらも二つ以上の会社が一つになることを指します。

新設合併は、合併当事者のすべての会社が解散し、新設する会社に権利義務を承継することを意味します。一方の吸収合併は合併当事者のうち1社だけが存続し、それ以外の会社の権利義務を承継することを意味します。合併の場合、一般に吸収合併が用いられる傾向にあります。

合併と同じく買収についても二つに大別できます。株式譲渡と事業譲渡です。株式譲渡は文字どおり株式を相手方に譲渡すること、事業譲渡は株式ではなく企業が営む事業そのものを譲渡することを指します。

事業譲渡は、従業員や取引先との契約関係や許認可などの手続きが必要ですが、株式譲渡は基本的にそれらの対応が不要です。そのため、税理士の方が対象とするような中小企業のM&Aでは、株式譲渡がよく用いられる傾向にあります。ただ、簿外債務などのリスクを切り離すために事業譲渡を選択する場合もあります。

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Q.M&Aの件数の推移を教えてください。

宮前:中小企業のM&Aの件数は、2011年から右肩上がりで増えています。2020年はコロナ禍の影響で減少に転じましたが、現在では再び増加して年間4,000件以上あると言われています。

今、中小企業のM&Aが話題になっています。なぜかと言うと、事業承継問題が目前に迫っているからです。つまり中小企業経営者に多い団塊の世代が、2020年頃から70歳に差し掛かっているのです。他方では後継者が不在の企業が半数を占めていることから、2025年までに累計で650万人くらいの雇用が失われると見られています。これを防ぐために、第三者に会社を引き継いでもらう事業承継型のM&Aが注目されているのです。

Q.M&Aをすることで売り手と買い手にはそれぞれどんなメリットがありますか?

宮前:まず買い手にとってのメリットとしては、自社でビジネスを拡大していく時間を大幅に短縮できることが挙げられます。具体的には、事業用の資産や不動産といった有形資産や、技術力や販売網といった無形資産を買い手企業が一気に取り込むことができます。

一方、売り手にとってのメリットは大きく二つあります。売り手の経営者がいちばん気にするところでもあるのですが、取引先や従業員を守れるのが大きなメリットの一つです。もう一つは、売り手側の経営者がリタイア後の資金を確保できる点もメリットと言えます。あくまでも一般論ですが、廃業して清算するよりもM&Aを行うほうが手元に残る資金は多くなる傾向があります。

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M&Aに詳しくないといつの間にか顧問契約を失うことも

Q.税理士がM&Aについて知見を持つことにはどんなメリットがありますか?

現在、日本国内には3万件近くの税理士事務所があるとされています。ところが中小企業庁が推進しているM&A支援機関に登録している税理士事務所は600件ほどしかありません。全体の約2%程度しかないブルーオーシャンなのです。他事務所との差別化を図りたいのなら、M&Aの知見を持つことには大きなメリットがあります。

また税理士事務所の顧問先は、M&A仲介会社や金融機関からアプローチを受けていることが少なくありません。税理士にM&Aに関する知見がないと判断した顧問先が、そちらで話をまとめてしまい、知らない間に売却が決まり顧問契約を失う事例もあります。

Q.M&Aに対する知見としてどのようなことが必要なのでしょうか?

宮前:まずはM&Aの対象になりそうな顧問先を常にモニタリングしていく仕組みが必要です。税理士事務所では職員の方が顧問先の監査をしている形が多いと思います。職員の方に日常の経営者との会話の中から事業承継につながるワードを拾っていただき、将来的にM&Aを実施する可能性があるかを知ることが大切です。

特に後継者の有無、顧問先の財務状況や、経営者がリタイアした後の趣味があるのかなども把握しておくとよいでしょう。

また冒頭で説明した新設合併と吸収合併の違いや、株式譲渡と事業譲渡の違いなどをある程度説明できるだけの知識は必要です。

特に中小企業M&Aには特有の論点もあるので、きちんと学習しておくことは大切です。学習の仕方としては書籍を読むことも効果的ですが、弊社が運営しているデロイト トーマツ アカデミーなどで、専門家の講師から学んでいただくのも有効だと思います。

売り手と買い手を結びつけるサービス「M&Aプラス」

Q.貴社のサービスである「M&Aプラス」について教えてください。

宮前:ひと言で言うと、税理士をはじめとするM&Aの専門家にフォーカスしたマッチングプラットフォームです。M&Aプラスは、登録しているM&A専門会社がそれぞれの案件情報を載せ、売り手と買い手をマッチングするサービスです。今、全国で680社を超えるM&A専門会社が登録しています。

Q.M&Aプラスの特徴を教えてください。

宮前:M&Aでは、従業員や取引先などへ情報が漏れるリスクに注意しなければなりません。しかし他社のマッチングプラットフォームの中には、個人か法人かを問わず多くの方がM&A情報にアクセスできるものもあります。弊社のM&Aプラスは入会審査を経た専門家に限定して情報を開示しているので、情報が漏れるリスクを低減できます。

また他社の場合、売り手と買い手が直接やり取りできるプラットフォームが多いのですが、法律上は問題ないものの、さまざまなリスクが生じる可能性があります。例えば専門家を入れずに進めたことで、途中まで順調だった案件が、お互いの認識にズレが生じて破談になったり、取引完了後に簿外債務が出てきたり、労務管理に対して重大な問題が出てきたりといった具合です。

これらを防ぐために、M&Aプラスでは売り手と買い手がプラットフォーム上で直接やり取りするのではなく、専門家を通して安心・安全なM&A取引ができるようにしています。

さらに間に入る専門家がきちんと手数料をもらえるように、案件の規模は1億円内外のものが多くなっています。規模が大きすぎると論点が増えてリスクが高まり、逆に小さすぎると手数料が入らない恐れがあります。その中間の税理士事務所にとって"ちょうどいいサイズ感"になっているのも特徴の一つです。

Q.税理士がM&Aプラスを使うことのメリットを教えてください。

宮前:税理士さんの顧問先の情報を極力、外部に出すことなく、多くの潜在的な買い手にアプローチできる点はメリットだと言えます。逆に「こういう企業を買いたい」というニーズを持つ顧問先に対して、M&Aプラスを使うと全国から売却案件を探すことができます。

企業を買収したいというニーズを持つ中小企業は少なくないものの、案件情報が手元にないためM&Aが進まないといった税理士さんの声をよく聞きます。M&Aプラスを使うことで、全国680社のM&A専門会社が持つ情報にリーチできる点は大きなメリットだと思います。

実際、売却したいというニーズを持つ歯科クリニックの院長がいて、他のM&A専門会社を頼っても長らく買い手が見つからなかったのですが、弊社のM&Aプラスを利用したところ成約したという事例もあります。

Q.M&Aプラスの今後の展望を教えてください。

宮前:よりスピーディーな成約を目指し、自動マッチング機能などもリリースしていこうと思っています。またM&Aプラス以外でも、デロイトトーマツアカデミーや、M&Aの専門家に向けて情報発信をする「FAポータル」といったWebサイトもあります。これらを通じて、税理士さんをはじめとするM&Aの専門家にソリューションを提供していきたいと考えています。

*     *     *

顧問先がせっかく築き上げた技術やサービスを次世代に承継できないのは残念なことです。後継者がいなければM&Aを視野に入れて検討していく必要があります。

全国680社のM&A専門会社のネットワークを活用できるM&Aプラスは、その有力な選択肢と言えます。興味のある方は以下のリンクをクリックして詳細をご確認ください。

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