【中小企業社長インタビュー】過去の顧問税理士を反面教師として業界をリードする弁理士

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株式会社Toreru CEO、特許業務法人Toreru 代表弁理士
宮崎超史さん

平成29年に株式会社Toreru(トレル)、および特許業務法人Toreru(トレル)を開業した宮崎超史さん。経営者であり弁理士でもある宮崎さんは、同じ士業として税理士をどう見ているのでしょうか?顧問税理士を二度にわたり代えたことのある宮崎さんに、税理士に求めるものを聞きました。

お話をうかがった方:株式会社Toreru CEO、特許業務法人Toreru 代表弁理士 宮崎超史さん
トヨタ自動車にて工場の改善業務に従事した後、弁理士資格を取得。特許事務所でのアナログ作業の多さに課題を感じ、トヨタ自動車での改善を弁理士業務にも活用。スタートアップや新しいビジネスへの理解が深く、ディープラーニングやAIに関する講師なども務める。
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クラウド上で商標登録が完結するサービス

Q.貴社を創業する前の宮崎さんのキャリアについて教えてください。

宮崎さん(以下、宮崎):新卒としてトヨタ自動車に入社し、品質管理部に配属されました。工場で部品などを作る時に傷がついてしまうことがあるのですが、その原因を究明して改善する仕事です。

一方で、親が特許事務所を経営していたためか、自分の中では子どもの頃から何かで起業したいという想いがありました。やはり親の影響だったのでしょう、トヨタを辞め、1年間ほど勉強をして弁理士試験にパスしました。

Q.同業他社にはない貴社の特徴を教えてください。

宮崎:特許事務所には既存のやり方を踏襲するところが多いのですが、僕たちは自分で発明をしたり新しいデザインを作ったりして、それらを価値の源泉としてサービスを提供しています。

例えば、弊社の社名でもありサービス名でもある Toreru (トレル)は、僕らが独自に開発した商標登録支援サービスです。これを使うと、クラウド上で商標登録に関する一連の処理が完結します。弁理士の業務が10分の1ほどに圧縮されるので、品質を担保しながら低価格でサービスを提供できるのです。

これまでは特許庁のホームページから日付や登録番号などをコピー&ペーストして書類を作っていたのですが、定型的な入力を自動化することで弁理士の作業量を大幅に削減。浮いた費用を価格に反映できるのです。実際、弊社では従来の3分の1程度の価格で商標登録をサポートさせていただいています。

その結果、例えばお客様に対するヒアリングや、対象となっている二つのデザインが似ているか否かといった専門的な判断など、弁理士は重要なところにだけ注力できます。

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顧問税理士を二度代えた理由

Q.顧問税理士を代えた経験をお持ちだそうですが。

宮崎:今の税理士さんは三人目で、社労士さんからの紹介で知り合いました。過去の二人は決算書を作って終わりだったのですが、今の税理士さんは毎月の試算表をきちんと出して経営がどうなっているのかを伝えてくれます。

僕が大阪府で創業したこともあり、一人目の税理士さんは在阪の人でした。拠点を東京に変えるタイミングで交代していただいたのですが、辛かったのは1年に1回の決算書しか出してくれなかったことです。毎月、赤字なのか黒字なのかさえわからない状態でした。

二人目に至っては何かをしてもらったという記憶がないくらいです。相談業務を期待したのですが、その方に相談すべき内容はありませんでした。実際、二人目の方には数ヶ月で辞めていただいています。

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経営判断に資する情報を提供する

Q.今の税理士は貴社に対して主にどんなサービスを提供していますか?

P/Lを毎月出して、その月はどうだったかの振り返りをしています。あとは毎月の会計データの入力と、年に一度の決算書の作成をしていただいています。時々、節税についてのアドバイスをもらうこともあります。

Q.今の税理士に対してはどんな相談をすることが多いですか?

宮崎:弊社では外注費の割合が高く、20%くらいになっています。どの辺りまで経費を上げて投資してもよさそうか、みたいな相談はよくしています。

Q.今の税理士からのアドバイスで特に印象に残っているものを教えてください。

宮崎:最近、融資で借入をする機会が増えたのですが、その際、これくらいの利益があったら、こういう投資は通りやすい、みたいな具体的な数字を指摘されたことが印象に残っています。

そのアドバイスを受けて、今は投資を抑えて融資を獲得してから投資を増やそう、といった経営判断につながっています。経営判断に資する情報をもらえるので助かっています。

Q.今の税理士に感謝していることはありますか?

宮崎:あります。返事も含めて仕事が速い点に感謝しています。また、例えばP/Lはスプレッドシートで共有しているのですが、情報共有をマメにしてくれる点もありがたいです。

スピードがすごく速い必要はないのですが、例えばメールが3日も4日も返ってこないなど、こちらが不安になるようでは困ります。

それから今の税理士さんになってから、税務に関する作業を仕組み化できたのはありがたいことです。例えばスプレッドシートで管理しているP/Lをはじめ、必要な資料は「Google Workspace」上で完結しています。

そのうえで「このフォルダに請求書をアップロードしましょう」とか「ファイル名はこうしましょう」とか、毎月のTo Doを整理できました。それまではごちゃごちゃしていて、私自身もよくわからなかったので、是正できたのは大きな成果だと思います。

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弁理士から見た「いい税理士」の条件

Q.Lanchor(ランカー)では、顧問先の業績向上に貢献する税理士を「いい税理」と呼び、その活動を応援しています。宮崎さんにとっての「いい税理士」はどんな人ですか?

宮崎:弊社のスタッフは僕を含めて18名です。僕らのような小さな所帯では、会社側の税務負担を極力減らしたいというのが本音です。その意味では、税務負担を少しでも低減してくれる税理士さんが「いい税理士」の条件になるのではないでしょうか。あとは先ほども申し上げたとおり、情報共有をマメにしてくれる人だと理想的です。

Q.今後の目標を教えてください。

Toreru より便利にしていくことが目標です。それを通じて、知的財産登録のハードルをさらに下げ、クリエイターにもっと還元できる社会を作っていきたいと思います。

直近ではAIが商標を調査し、完全に無料で出願するサービスを作っています。このサービスを無事にリリースすることが当面の目標です。

Q.税理士業界にメッセージがあればお願いします。

僕らの弁理士業界もそうなのですが、AI(人工知能)やクラウドの登場には産業革命に匹敵するインパクトがあると思っています。しかし作業効率が10倍に向上するような転換期にいるにもかかわらず、これを大きな波だと感じていない人が少なくありません。

税理士も含む士業の世界は、結局は文字と、あったとしても画像データで成り立っているので、ITとの親和性は高いはず。だから本当はもっともっと多くのことができるのです。AIやクラウドを使いこなせるようになれば、真の意味でお客様にとって不可欠なパートナーになれると思います。

*     *     *

はじめから弁理士を目指したのではなく、トヨタ自動車で社会人経験を積んでから弁理士になったことで、いわゆる"先生稼業"にありがちな偉そうなイメージとは程遠い宮崎さん。

Toreru という完成度の高いサービスを武器として、弁理士業界に一石を投じようとする姿が印象的です。税理士に対しても安易な妥協はせず、改善が見られなければ退場してもらうシビアな一面も持っています。

その裏には、同じ士業としてクライアントのために常にベストを尽くす宮崎さんのプロフェッショナリズムが伺えます。産業革命に匹敵するインパクトを持つ現状において、業界をリードしていくのは宮崎さんのような若き挑戦者なのかもしれません。

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