残業ゼロの税理士に聞く!6倍速で会計業務を効率化する秘訣とは?

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近年、AIや会計ソフトの急速な普及に伴い、税理士に求められる役割にも変化がみられるようになりました。記帳代行や税務申告といった従来型の業務領域を抜け出し、中小企業の経営面や財務面をサポートするといった、新たなサービス提供が求められるようになったのです。
しかし、こうした新たなサービスを提供するためには、税理士としての従来業務をいかに効率化できるかが重要です。

そこで今回は、会計の記帳業務や決算書などの報告書類の作成、申告書の作成といった業務の効率化を実現されているエクセライク会計事務所の伊藤温志さんにお話を伺いました。

800社以上の顧問先を抱え、スタッフ一人当たりの担当顧問先数は150社を超えるというエクセライク会計事務所。残業時間ゼロに加えて、顧問先から書類を受け取って月次報告書を渡すまでの時間は平均で5日という圧倒的な業務スピードを実現しています。その秘訣は一体何なのでしょうか。

お話をうかがった方:エクセライク会計事務所 伊藤温志さん
2011年にエクセライク会計事務所を開業して独立。
開業以来のノウハウを活かし自社で「エクセライク会計」を開発。
さらに業務管理システムも自社で制作し圧倒的な効率を実現。
その効率化のレベルは年々向上し現在では1人200社を担当できるほどにまで達している。
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「これでは採算がとれない!」業務効率化に取り組んだワケ

Q.業務の効率化のお話を伺う前に、事務所を開業された理由について教えてください。
顧問先と直接契約できるようにしたかったからです。開業する前はフリーの公認会計士として税理士事務所を通して仕事を受注していたのですが、会計士の大量合格問題(※)に巻き込まれて契約を打ち切られてしまいました。そのとき自ら顧問先と直接契約することの大切さを学び、開業することにしました。

※会計士の大量合格問題
金融庁の掲げた「会計士五万人構想」とそれにまつわる問題のこと。金融庁は2018年までに公認会計士の総数を五万人にすることを目標に掲げ、新試験制度を導入したが、多くの就職浪人を生み出す結果となり、計画は頓挫した。

Q.続いて業務効率化に取り組んだ経緯を教えてください。
実際に自分で税理士事務所を経営をしてみて、従来の料金モデルでは儲からないと思ったからです。私の事務所の場合、ボトルネックになっていたのは「顧問先訪問」と「記帳代行」でした。税理士事務所の一般的な料金モデルでこの二つに時間をかけすぎていては、採算が合いません。

そこからどうすれば儲かるのかを考え、業務フローを見直して使用するツールを工夫したり、効果測定の仕組みを整理したりすることで、業務効率化を実現してきました。

業務効率化の秘訣はスプレッドシートの活用

Q.エクセライク会計では現在、どれくらい業務効率化を実現できているのでしょうか?
現在では特定の業務に限らず、事務所のあらゆる業務を効率化しています。たとえば、会計や税務に関する記帳業務でいえば、当事務所では必要書類を受け取ってから5日で月次報告書を提出しています。ほかの事務所では平均30日程度かかっているのではないかと思うので、6倍速で業務をこなしていることになります。

Q.なぜ、圧倒的な業務スピードを実現できているのですか?
様々な要因がありますが、肝になっているのはGoogleスプレッドシートを活用した管理ツールです。(下図参照)

申告進捗管理表

シートではG-suitを使ってスタッフごとの処理件数や残数、メール処理件数、遅延状況、作業時間などを月次で集計し、様々なアプリと連携させています。
基本的にスタッフはシートの緑の部分のみを記入することになっているので、記入漏れが起きにくく、新人でもマニュアルなしで作業を進められるようになっています。
業務の引継ぎも随時更新されていくシートを確認するだけで進められるので、リモート作業に対応しやすいのもメリットですね。

Q.スプレッドシートを具体的にどのように活用されているのでしょうか?
ポイントはスタッフ単位で月次の処理状況を見えるようにしていることと、独自に「申告残日数」という項目を設けていることですね。

まず、月次の処理状況については、案件を誰が何件担当しているのかといったこと以外にも、処理状況ごとに案件が何件あるのかを把握できるようにしています。こうすることで停滞している個所や効率的に業務を捌けている個所を一目で把握できるようにしてスタッフ間の情報共有の手間を減らしています。

「申告残日数」では、申告までの期日を明らかにしています。当事務所の顧問先の中には納税額が数百万円から一千万円を超えるところもあります。それだけの金額になると、必ずしもすぐに払えるわけではないので、スタッフには申告期限に余裕をもって税額を確定させるように伝えています。

スタッフがパフォーマンスを発揮できる環境づくりが事務所経営者の仕事

Q.進捗状況が全員に共有されているのはプレッシャーにはなるのではないでしょうか?
確かにプレッシャーにはなっていると思います。もしかしたら窮屈に感じているスタッフもいるかもしれません。ただ、事務所としては頑張っているスタッフが見えるようになることのほうが大切ですね。

事務所の評価制度には効率的に業務を捌けているかを指標に組み込んでいるので、頑張っているスタッフにはお給料の面でもメリットを受けられるようになっています。

Q.最後に読者の方に向けて業務効率化に取り組むうえでのポイントをお願いします。
最も大切なポイントは「スタッフがパフォーマンスを発揮できる環境を作るのは経営者の仕事」だということです。

たとえば、エクセライク会計では残業時間ゼロを達成していますが、これを実現できた背景には、私が覚悟を決めて無駄だと思った作業をやめたことと、やるべきことをすぐに行動に移していったことが関係しています。そうしなければ、いつまでもスタッフが慢性的な残業に追われてスキルアップや資格取得のための時間投資ができないからです。

業務効率化を目指す際はツールの検討と合わせて、やるべきことがToDoリストの上位に入っているか、業務フローに無駄な作業が入ってしまっていないかといった点も合わせて検討してみると良いかもしれません。

まとめ

あらゆる業務を効率化しているエクセライク会計。その効率化のカギを握っているのはスプレッドシートを活用した管理ツールにありました。
数ある工夫の中でも「月次の処理状況を可視化してスタッフ間の情報共有の手間を減らす」、「申告残日数」という項目を設けて早めに税額を確定させる」といった試みは他事務所でも取り入れやすい点ではないでしょうか。
業務効率化に取り組む際は、ぜひ、やるべきことをToDoリストの上位に入れることを意識してみてください。

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