32歳の実力派、「困っている人を幸せにするのが税理士の仕事」

32歳の若さにして認定「いい税理士 上級会員」の肩書を持つ志田俊介さん(志田俊介税理士事務所)。「人を想う」ことを自身の哲学として経営者に寄り添いながら日々、困難に立ち向かっています。
税務申告や記帳代行だけを依頼してくる会社とは顧問契約を結ばずに他の税理士を紹介し、自身は経営支援を中心とするサービスを展開している志田さん。中小企業の業績向上に寄与することで価格競争から脱し、顧問先から相応の報酬を得ることに成功しています。
志田さんがなぜ今のスタイルを確立できたのか、そして何を信条として仕事に邁進しているのか、その答えを伺いました。
お話をうかがった人:志田俊介さん/志田俊介税理士事務所
2018年独立開業。開業までに培った金融全般のコンサルティング経験を活かし、有益な情報を分かりやすくお客様に提供することを旨とする。税務は数字の世界であるものの、経営の先行きは「数字」よりも「人」が左右することを強く実感し、「人を想う経営」を奨励する。経営の数字の先には人がいて、人の先にはさらに飛躍した数字が待つ。クライアントの役員、従業員、そして取引先などすべての人に資するため、打ち合わせに特化したサービスを提供する。
止められなかったかつての顧問先の凋落
志田さんには苦い思い出があります。税理士法人に勤めていた頃、担当する顧問先の中に非常に業績の悪い会社があったそうです。その会社は顧問契約が切れた後、最終的に破産するのですが、そこに至るまでに紆余曲折がありました。志田さんはその会社のことを今でもありありと思い出せると言います。

こうした体験を重ねて、志田さんは税理士として経営者に寄り添うことの大切さに気づいていきます。同時に、数字を動かす生身の人間たちに接することで、数字が単なる記号ではないことを知ったと志田さんは語ります。

税理士は事務職ではなく営業職
32歳にして豊富な経験を持つ志田さんは「台所事情が苦しい会社もたくさん見てきました」と言います。苦しい会社に対しては、経営者にとって「不都合な真実」を伝えるのも税理士の役割。経営状態が悪いことをお客さんに理解してもらうよう努力しなければならないのです。

そう語る志田さんの税理士としてのやりがいは、さまざまな困難を経営者とともに乗り越えていくことだそうです。
経営に関してアドバイスをするという意味では、経営コンサルタントという職業も存在します。ただ、単年契約やスポット契約の多い経営コンサルタントとは異なり、税理士は何年にもわたって経営者に寄り添っていきます。

また顧問先の経営者に寄り添うことを信条とする志田さんは、自身の成功体験についてこう語ります。

逆に、顧問先の経営者から残念な言葉を投げかけられた経験もあります。税理士事務所に勤務していた頃、ある顧問先から「打ち合わせも報告も何もいらないから試算表だけ置いて帰ってくれ」と言われたことがあるのです。

経営者が人を幸せにする手助けをしたい
顧問先の経営者から信頼を得るうえで、営業職に負けないくらいのコミュニケーションスキルが欠かせないと話す志田さん。特に会話の順番には気をつけているそうです。顧問先に行動の変化を促す場面では、会社や人物の特長に触れてその場を温めてから本題に切り込むようにしています。

志田さんは独立して以来、一貫して「人を想う」ことをキーワードに掲げて活動してきました。企業経営者の第一の使命はお金を稼ぐことかもしれませんが、人の活動があってこそお金を稼げるのだと志田さんは指摘します。

また、税理士として「人を想う」ことと同じくらい大切にしている信条が志田さんにはあります。それは自身のワークライフバランスを大切にすることです。

税理士事務所に勤務していた頃、連日のハードワークで心の余裕を失いかけ、このままでは「人を想う」サービスが提供できなくなると危惧した志田さん。独立後は家族との時間や趣味の時間も大切にしながら、一件一件の顧問先に対して経営支援を中心とするサービスを提供し、相応の対価を得る現在のスタイルを確立しました。

税理士業界全体の発展を願って
顧問先の経営者から知り合いの企業を紹介されることも多いと言う志田さん。初対面の相手に認定「いい税理士 上級会員」であることを伝えると、ほとんどの人が興味を持ってくれると話します。また「税理士資格を持たない事務所のスタッフにもスポットライトが当たるような業界にしていきたい」と大きな夢も語ってくれました。
志田さんのような税理士が増えていくと、活力のある中小企業も増えていきます。そして資格を持たないスタッフも含め、税理士事務所で働くことが若者たちの憧れとなり、税理士業界全体が活性化していきます。そのけん引役となるのは「いい税理士」だとランカーは確信しています。
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