人見知り、口下手、内向的な税理士さん必読!社長との距離を縮める「雑談力」とは?
ご存じのように、税理士の数は増え続けている一方で、その顧客となる中小企業の数は減少の一途を辿っています。税理士同士の競争が激化している今日、顧客である経営者をつなぎとめておくためにも、「この税理士は話しやすい人だ」「この税理士ともっと話がしたい」さらには「会社のこと以外にも相談に乗ってもらいたい」と思ってもらうことは非常に大切です。そのきっかけになるのが雑談です。ここでは書籍『負けない雑談力』の著者である渡瀬謙さんに、雑談のコツをテーマに話を伺いました。
ビジネスにおける雑談の意味を理解しよう
渡瀬さんは大手情報企業に営業職として勤めていた際、こんな経験をしたそうです。
このエピソードからわかるのは、ちょっとした雑談がビジネスを加速させるきっかけになり得るということです。
実際に「次回、一人で訪問した時もその社長とはスムーズに話ができました。新しい営業担当はいろいろ気づいてくれる人に違いない、という印象を社長に持ってもらえたんだと思います」と渡瀬さんは続けます。
事前の準備に労を惜しまない
初対面の人と会う時、最低でも三つの話題を用意していくと言う渡瀬さん。そうしておけば、自分の準備した話題に相手が興味を示さなかった時でも、落ち着いて対処できるのだそうです。例えば用意した話題のうち、二つまでが空振りに終わったケースを書籍から引用してみます。
「こちらの駅は初めて降りたんですけど、ずいぶん建物がきれいですね。改装したてなんですか?」
「いえ知りません」
「あ、そうですか。それと、こちらに歩いて来る途中で商店街を見かけたんですが、ずいぶんにぎわっていましたね?」
「まあ、あんなものですよ」
「……。あ、そうそう。そういえば、こちらの駅の発車メロディーは変わっていませんか?何かの曲みたいでしたけど?」
「ああ、あれは、この土地出身の〇〇さんの曲ですよ」
「え、〇〇さんの出身ってここだったんですか!」
「そうなんです。まだ売れない頃は駅前の路上でよく歌っていましたよ!」
「見たことあるんですか?」
「何度も見ましたが、やはり当時から歌がうまかったですね」
「それはすごいですね~」
※引用元 『負けない雑談力』
三つ目に出した話題が相手の関心を引き、盛り上げることに成功しています。例えば顧問先のオフィスを去る時、帰り際の雑談でこのように話を持っていけたら、見送ってくれる社長は「この人とまた話がしたいな」と思ってくれるかもしれません。そうなったらまさに雑談力の勝利です。
雑談はその場を盛り上げたり沈黙を埋めたりするだけでなく、その後のビジネスをスムーズに進めるために必要ものだと渡瀬さんは話します。
相手に近い話題をぶつけてみよう
では、どのようにして雑談のネタを仕込めばよいのでしょうか?この点について渡瀬さんは、冒頭で述べた三つの話題を用意することを勧めます。
雑談のネタを仕込む際、相手に近いテーマを選ぶことが大切だと渡瀬さんは指摘します。例えば次に挙げるテーマのうち、みなさんだったらどれを選ぶでしょうか?
(A)昨日観たお笑い番組
(B)来る途中の交通渋滞
(C)相手の変わった靴
出典 『負けない雑談力』
どれも雑談のネタとしては悪くないのですが、より相手に近い話題である(C)がベターだと渡瀬さん。この他にも、例えば会社のホームページに記載している経営理念などは、社長が熱を持って語りたいことの一つです。積極的に雑談に盛り込むようにしましょう。
もう一つ雑談のテクニックをご紹介します。渡瀬さんは名刺交換の際、相手の名前を声に出して読み上げるそうです。
相手が答えやすいことを聞くのが雑談の鉄則です。その意味でも、相手に固有の情報である名前を取り上げるのは理に適っているのです。
勤務税理士や補助スタッフにも求められる雑談力
次に、上司と部下の雑談を書籍から引用します。税理士事務所のスタッフが事務所の代表税理士と話をするシーンに置き換えてご覧ください。
部下:「あれ、いつものネクタイと感じが違いますね?」
上司:「おお、鋭いな。これは娘のプレゼントなんだ」
部下:「そうだったんですか。やはり若いセンスで選ぶと違いますね~」
上司:「大丈夫かな。少し変じゃないか?」
部下:「似合っていますよ。ちなみにその模様は猫の足跡ですか?」
上司:「そうなんだ。娘が大の猫好きでね」
部下:「いいじゃないですか。そういう遊びゴコロもアリだと思いますよ」
出典 『負けない雑談力』
上司(代表税理士)のネクタイの変化に気づいた部下(スタッフ)が、そのことをさりげなく伝えるシーンです。この雑談を経て「意外と気がつくやつだから、一人でお客様先に出しても大丈夫かもしれない」と代表税理士に思ってもらえたのなら理想的な展開です。このように、自分はよく気がつく人間であることをアピールする手段としても雑談は使えるのです。
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ビジネスにおける雑談の意味と効果、そして雑談をするうえでのコツについてご理解いただけたでしょうか?繰り返しになりますが、できるビジネスパーソンは雑談を駆使して顧客との関係性を強固なものにしています。一方で、人見知りで口下手で内向的な人が、できるビジネスパーソンのような成果を上げたいと思ったのなら、下準備に労を惜しまないことが大切です。
多くの場合、社長という孤独な立場にいる人は、相談相手を求めています。そして税理士はそれになり得る立場にいます。ぜひ雑談力を駆使し、何でも相談できる壁打ち相手として真価を発揮していきましょう。
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