スタッフを成長させるITツール選びの勘どころとは?業務効率を高める6ツールをご紹介

人が成長するための近道は、成長に必要な仕事に集中させること――。そんな考えを持つ中村太郎さんは、起業支援などに強みを持つ税理士事務所の代表です。さまざまなツールやサービスを駆使して業務効率化を実現し、時間を作り出すことでスタッフの成長を支える中村さん。一体どんな基準でツールやサービスを選び、実際にどんなものを利用しているのでしょうか?具体的なツール名やサービス名も含めてご紹介します。
研修を通してスタッフに成長の機会を提供したい
「せっかくうちの事務所で働くことを選んでくれたスタッフには、可能な限り成長の機会を提供したいんです」。そう語るのは中村太郎税理士事務所の代表を務める中村太郎さんです。 法人化していない個人事務所でありながら計11名のスタッフを擁し、開業10年目を迎える同事務所では、定期的にスタッフ研修を実施してスキルアップの機会を設けています。
スタッフが揃って研修する際、顧客からの電話対応のたびに研修を中断せざるを得ないことを非効率だと感じていた中村さんは、fondesk(フォンデスク)という電話対応サービスを導入しました。 同サービスは、事務所にかかってくる電話を専門の外部スタッフが受け、用件を聞いたうえで折り返しの必要の有無も含めて知らせてくれるというもの。電話があった旨を伝える手段として、Chatwork(チャットワーク)やSlack(スラック)をはじめとするビジネスチャットツールやLINEなどに対応している点が特徴です。
「fondeskを導入したことでスタッフ全員が研修に集中できるようになっただけでなく、休憩時間にみんな揃って休めるようになり、事務所の一体感が増したことも大きなメリットだと思っています」と中村さんは話します。
一人事務所として開業した10年前は、秘書代行サービスを使っていたと言う中村さん。その時は受電を知らせる手段がメールだけだったので、折り返しの電話をするまでに時間がかかることもあったとか。急を要する用件や、新規の契約に関する大切な用件だった場合、大きな機会損失になりかねません。
「うちの事務所では今、コミュニケーションツールとしてChatworkを利用しています。fondeskは受電後すぐにChatworkで連絡をくれるので直ちに対応でき、重宝しています」と中村さん。このfondeskをはじめとするさまざまなITツールやサービスを積極的に導入している点も、中村太郎税理士事務所の特徴の一つです。
ツール導入のポイントは「手応えを感じたら早く採用すること」
「スタッフには自分たちの成長につながる仕事に集中してほしい」という思いを持つ中村さんは、他にも業務効率化の施策を実施しています。 例えばテレワークの導入もその一つです。
中村さんの事務所で導入しているツールおよびサービスは次のとおりです。
ツールおよびサービス名 | 用途 |
Chatwork | スタッフ同士、またはスタッフと顧問先とのコミュニケーション |
Zoom | スタッフ同士のオンライン会議、または顧問先とのオンライン面談 |
PARSEC | パソコンの遠隔操作。用途の近いTeamViewerから乗り換えた |
MyKomon | 業務の見える化や給与計算など |
fondesk | 電話の一次対応および通知 |
クラウドサイン | オンラインでの各種契約の締結 |
新しいツールを導入するには、その習熟に時間がかかるなどスタッフの負担に対する懸念も当然あるでしょう。それについて中村さんは「Chatworkを導入した時も、TeamViewerをPARSECに置き換えた時も、私自身が率先して新しいツールを使うことで、スタッフのみんながついてきてくれるようになっています」と語ります。
テレワークへの移行に関して、多くの税理士事務所では次のことを課題としています。
- 事務所宛てにかかってくる電話の対応をどうするか
- 郵便物の受け取りをどうするか
- スタッフの一体感や横のつながりが損なわれないか
1.については、中村さんはfondeskを導入することで解消しています。2.については、事務所にいないとできない業務があるスタッフが出所して対応にあたっているそうで、「当面はこの運用を続けます」と中村さん。 3.については試行錯誤を繰り返しており、例えばZoomをつなぎっぱなしにして業務を進める形をとったりしたこともあるそうですが、スタッフ間でお互いに監視されているような気持ちになったので、ほどなくして運用をやめたのだとか。「いろいろ試した結果、スタッフを信用して、スタッフの満足度が上がる形にするほうが業務の効率は高まるという結論に達しました」と中村さんは話します。
ツールの導入は人の成長速度を最大化するため
創業時における融資申請の代行や補助金申請の代行など、事業者の資金調達を得意とする同事務所では、税務申告や記帳代行といった従来型の税理士業務以外の部分でスタッフにスキルを磨いてほしいという方針があります。それを具現化するために「ツールに頼れる部分はツールに頼り、人は人にしかできない仕事に注力するようにしています」と中村さんは話します。
大事なのは実際に使ってみて手応えを掴むこと
中村さんは必ずしもアーリーアダプター(新しい技術をいち早く取り入れる人)というわけではありません。最先端を追い求めるよりも、広く使われているツールや実績のあるサービスを選ぶことももちろんあります。大事なのは「実際に自分で使ってみて『行けそうだ』という手応えを掴むことです」と中村さん。
スタッフの育成や業務効率の向上を課題とする事務所、そしてテレワークへの移行期にある事務所にとっては、中村さんの考え方や、実際に使っているツールおよびサービスは参考になるのではないでしょうか?この記事がそうした方のお役に立つことを願います。
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