大ピンチですら思い出に!「いい税理士」が経営者との絆を深める秘訣

中小企業の業績アップに貢献する「いい税理士」は、経営者に寄り添い、よき相談相手となってサポートします。
では、「いい税理士」を志すみなさんは、顧問先である中小企業の経営者と接するときに、どのようなことを大切にしているのでしょうか。今回は、税理士法人森本会計の森本琢磨さんにお話を伺いました。
中小企業の頼れるパートナーとなるためには、経営者との「思い出づくり」が大事だとおっしゃる森本さん。重要な局面を一緒に乗り切ることで生まれる信頼関係が、中小企業の業績アップを実現するための土台になる、と熱く語っていただきました。

経営者との「思い出づくり」が自分の仕事

Q.経営者との「思い出づくり」が大切とのことですが、どういうことでしょうか?

私は、「思い出づくり」こそが自分の税理士としての仕事だと思っています。税理士として中小企業の経営を支援するためには、いかに経営者に信頼してもらえるかが重要です。経営者からの信頼を得るために大切なのは、「重要な局面を一緒に乗り切った」という経験を共にすることなのです。
強烈な思い出となって残り続ける経験をお互いに共有することで、深い絆が生まれます。経営者も信頼して私の話に耳を傾けてくれますし、私のアドバイスを基に行動してくれるようになります。
「経営者」と一口に言っても、本当に様々なタイプの方がいます。もちろん税理士として、その会社の数字を把握することは重要です。ですが、それより大事なのは人対人。経営者としっかりとコミュニケーションをとって、相手を知ることの方が大切だと思います。

Q.具体的にはどのようなことをされるのでしょうか

例えば、兵庫県にある、日傘の製造販売を営んでいるお客様のケースです。お付き合いを初めて早々に訪れた決算処理を、一緒に乗り切ったことがその「思い出」にあたります。

>>森本さんが日傘を製造販売する中小企業の業績向上に貢献した事例はこちら

元々は別の税理士さんが顧問をされていたのですが、体調を崩されてしばらくお休みされることになりました。そのため、新しい税理士を探していらっしゃったところ、縁あって私が支援させていただくことになりました。
前任の税理士さんからバトンを引き継いだときは、すでにそのお客様の決算があと1ヶ月後に迫っているというタイミングでした。そのため、急いで決算のための準備に入りました。

切迫した状況を、一緒に乗り越えることに意味がある

Q.決算業務は無事に終えることが出来たのでしょうか?

決算業務自体は無事に終えることが出来ました。ですが、何とか決算を乗り切ったと思った矢先、休む間もなく税務調査が入ることが決まりました。
顧問税理士を引き受けて、わずか数か月で税務調査に対応するという状況は、そうそう経験がありません。お互いに知り合ってから日が浅く、まだ関係性もしっかりとは出来上がっていませんでした。
さらに、経営者自身は初めての税務調査ということもあり、非常に不安を感じていらっしゃいました。経営者を励ましながら、抜かりなく準備を進めていかなくてはなりません。私自身も、いつも以上に緊張感をもって臨まなければなりませんでした。

森本 琢磨様 by Lanchor(ランカー)

見方を変えれば、ピンチは絶好のチャンスになる

Q.税務調査はどのような結果になったのでしょうか?

無事に是認という形で終えることができました。結果を聞いた時は、経営者と手を取り合って喜んだのを今でも鮮明に覚えています。
正直言って、是認という結果が得られたのは、私ではなく前任の顧問税理士さんのおかげだと思っています。しかし、お客様とお互いに励ましあいながら、ギリギリのスケジュールと緊張感の中で一緒に準備を進める工程は、お客様と私たちの双方にとって、強烈な思い出として残ることになったのです。

これは後日談なのですが、税務調査が終わった後に、このお客様の経営者や従業員さん、そしてうちの事務所のスタッフで打ち上げを行いました。すると、打ち上げに参加したメンバーが、翌日からバタバタとインフルエンザで倒れてしまったんです。
どうやら、税務調査中に誰かがインフルエンザに感染してしまったようで、それが蔓延したのです。お客様もうちの事務所も、一時的に業務が進まない壊滅状態に陥るという、まさに悲惨なおまけがついてきたわけです。

ただ、そんなエピソードも、税務調査を一緒に乗り切ったことを一層強烈な思い出にしてくれたと思います。当時は本当に悲惨でしたが、今ではお互いに笑いながら振り返ることができます。そう思えるのも、重要な局面を共に乗り切ったという充実感がお互いにあるからこそです。こうした経験を、これからも多くの経営者さんと共有していきたいですね。

森本さんのインタビューを終えて【取材後記】

大きな課題や難題を突きつけられるような切羽詰まった状況に追い込まれると、その人の本性が顔を出す、つまり、「素の自分」が出てきます。
森本さんのおっしゃる「思い出づくり」というのは、経営者と税理士とが共通のゴールに向けて力を合わせて奮闘する。その過程において、お互いに「素の自分」をさらけ出して関わることで、信頼関係が築かれる、ということではないでしょうか。
「思い出づくり」が上手くいくかどうかは、税理士側の人間性に依るところが大きいと感じます。税理士自身も追い込まれて余裕のない状況で、不安と焦りを募らせる経営者にいかに寄り添い、不安を解消してあげることができるか。時に叱咤激励して、勇気づけることができるか。そんな高い人間性が「いい税理士」には求められるのです。

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