【セミナーリポート】決算報告で顧問先の心をつかむための7つのポイント

志田さんリポートアイキャッチ

日本の全企業数の99.7%を占める中小企業の多くが窮地に立たされています。労働人口の急激な減少やライフスタイルの多様化などを背景として、我が国は低欲望・低成長社会に突入しました。加えて昨今のコロナ禍が、資金面の弱さが指摘される中小企業の経営に追い打ちをかけています。

こうした悪い材料の多い中、中小企業への決算報告の場で税理士はどう振る舞うべきなのでしょうか?今回は、いい税理士協会主催のオンラインセミナーの事例から、「顧問先の信頼を得る『いい税理士』の決算報告」と題し、そのヒントを探っていきます。

コロナ禍の今だからこそ税理士がすべきこと

2021年6月3日現在、東京や大阪をはじめとする10の都道府県に緊急事態宣言が発出されています。特に飲食業や旅行業などは大打撃を受けており、キャッシュフローがマイナスに転じている企業も少なくない状況です。多くの企業が厳しい経営環境に立たされた状況下で、顧問先から顧問料の値下げを要求されたり、顧問契約を解消されたりする税理士事務所も出てきています。

そうしたことを防ぐには、顧問先から確固たる信頼を勝ち取ることが不可欠です。そのために税理士には何ができるでしょうか?

露見した税理士の“本当の姿”

中小企業の経営者の中には、「コロナ禍によって税理士の本当の姿が見えてきた」と感じている人がいます。なぜなら経営者の多くは今、資金繰りに苦しんでおり、最も身近な相談相手としての税理士にサポートしてもらいたいにもかかわらず、こうした相談に苦手意識を持つ税理士が多いからです。「資金繰りのことなら金融機関に相談してください」と税理士に言われ、憤りを覚える経営者も少なくありません。果たして自社の顧問税理士はきちんと相談に乗ってくれるのかと、経営者は税理士に対してシビアな目を向けているのです。

資金繰りのサポートができない税理士、すなわち税務申告や記帳代行だけを主業務とする税理士は、急速に市場価値を失いつつあります。顧問先がピンチに陥っているときにこそ、その支えになるのが税理士としての真の役目です。数字に裏打ちされた根拠を示しつつ、資金繰りも含めた財務や経営の相談に的確に応える――。これこそが中小企業の業績向上に貢献する「いい税理士」の存在意義なのです。

決算報告における7つのポイント

例えば税理士の大事な仕事の一つとして、年に一度の決算報告があります。決算報告の場で、顧問先の経営者に対して「いい税理士」はどんな姿勢で臨むべきなのでしょうか?この点を探るため、いい税理士協会は5月20日に「顧問先の信頼を得る『いい税理士』の決算報告とは?」と題したオンラインセミナーを開催しました。

セミナーに登壇した志田俊介さん(志田俊介税理士事務所 代表税理士、いい税理士協会 認定上級会員)は、いい税理士協会の代表理事である田中啓介さんを顧問先の経営者に見立て、ロールプレイング形式で決算報告の模様を披露しました。田中さんは、年商2億円程度の小売業の経営者という設定です。

決算報告の場で志田さんは、例えば次のような内容について話をすると言います。

  1. 貸借対照表、損益計算書から見られる会社の特徴を指摘する(褒める)
  2. 借入の返済や納税のために必要な資金を明示する
  3. 法人から社長個人への貸付が与える悪影響を指摘し、早期是正を促す
  4. 現在の資金繰りに触れるだけでなく、今後のあるべき姿にも触れる
  5. 経費の使い方、税務調査で指摘されやすいポイントを具体的に説明する
  6. 法人、個人の節税について触れる
  7. 個人の資産形成について触れる

「決算報告においてはまず相手方の長所を見つけて褒め、そのうえでシビアな話に移るのがポイントです」と志田さんは指摘します。また「自社の置かれている状況を理解してもらうだけでなく、経営者自身が決算の内容を他人に説明できるようになってもらうことを目標にします」と続けます。

そのために決算報告書を見せるだけでなく、その内容をA4用紙10枚程度に要約した「財務分析リポート」を見せながら説明するそうです。今回のロールプレイングでは、上記のポイントのうち1、2、4、7について、志田さんが普段から実践しているやり取りを再現していきました。

志 田
税務や財務に限らず、何か困ったことがあったらまず顧問税理士のことを思い出していただけるよう、普段から関係構築には気を配っています。決算報告の場も、良い関係を築くうえで重要な機会の一つです。ここで通り一遍の説明しかできないと、顧問先の心は離れていきます。相手の心をしっかりつかんで強い信頼関係を築き、悩みごとのワンストップサービスができる存在になることを私たちは目指しています。

志田さんは顧問先から、子どもの受験やパソコンの使い方に関する相談を受けることもあるそうです。このことからも、顧問先からの信頼を勝ち取っていることがうかがえます。その結果、年々激化する価格競争から脱却し、安定した事務所運営を実現しています。

顧問料を巡る価格競争から脱却するために

ロールプレイング終了後の質疑応答で、志田さんは自身が担当している顧問先の数や顧問料などについても具体的な数字を示しました。付加価値の高いサービスを提供しているからこそ「平均と比べると割高な顧問料でも、お客様には納得していただいている」(志田さん)そうです。

質疑応答ではこれに加え、集客の方法や月次報告で気をつけていること、コロナ禍で増えている業績の悪い企業への報告の仕方などに関する質問についても丁寧に説明した志田さん。参加者の満足率は90.9%(記事公開日時点)という中身の濃いセミナーになりました。

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いい税理士協会は、経営参謀や社外CFOとして経営者に伴走する「いい税理士」の創出を通じて中小企業が躍動する社会を目指しています。協会のホームページでは、いい税理士に認定された方や、ここで紹介したセミナーなどの情報を紹介しています。ぜひ一度ご覧ください。

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