事務所スタッフの公私の充実が第一 亡き父の教えを胸に業務改善に取り組む

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三つの事務所が合併したことにより業務フローがバラバラで、あちこちに非効率的な業務が残っていた川路淳子税理士事務所。代表税理士を務める川路淳子さんが号令をかけ、業務改善に乗り出します。

まだ道半ばだという川路さんですが、人数が減った状態でも今年の確定申告を乗り切るなど、成果も出始めています。川路さんの行った業務改善の軌跡を紹介します。

お話をうかがった方:川路淳子税理士事務所 代表税理士 川路淳子さん
東京都出身。1997年、税理士試験合格。岩室博喜税理士事務所に就職。1999年、税理士登録後、川路一年税理士事務所に入所。2002年に事務所を承継。2017年に岩室博喜税理士事務所を承継。
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すべてをオープンにできるのは税理士の特権

川路淳子さんが中学生だった頃、税理士をしていた父が病に倒れます。その時から「淳子に後を継いでほしい」と言う父の言葉が頭から離れなかったという川路さん。大学卒業後の進路として税理士業界を選んだのは自然の成り行きだったのかもしれません。

「本当はアナウンサーになりたかったんです」と語る川路さんですが、税理士というやりがいの大きな仕事に夢中になり、本気でこの道を歩むことを決意します。

事務所スタッフの公私の充実が第一 亡き父の教えを胸に業務改善に取り組むの丸アイコン川 路
お客様の話を伺って「すごく助かった」とか「安心した」といった言葉をかけていただける時がいちばんやりがいを感じます。

最近でも、不動産関係の社長の仕事やプライベートについて相談に乗り、「こういうことはなかなか話せる相手がいないから、聞いてもらえてよかったです。心が軽くなりました」と言ってもらえたそうです。

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経営者の方は時として相談相手に恵まれず、一人で苦悩することもあると思います。いろいろな悩みを抱えてがんばっていらっしゃる方のお役に立てるなら、こんなにうれしいことはありません。

経営者は孤独であるとよく言われます。頼りになる従業員や経営者仲間がいたとしても、金銭面までもすべてオープンにして相談できる人は限られています。その筆頭が税理士なのだと川路さんは指摘します。

川路さんの理念は「経営者と未来を一緒に考えていきたい。経営者とともに成長していきたい。経営者と悩みも喜びも共有したい」という言葉に集約されます。

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私たちの主な仕事は、過去の数字に基づいて税金の計算をすることです。でもそれだけでは経営者の要望に答えられるとは思っていません。社長と一緒に会社の未来を考えていくことも私たちの仕事です。社長の良きパートナーとして一緒に歩んでいきたいと思います。

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三つの事務所が合併したことによる弊害

税理士になった川路さんは平成14年、父の事務所を承継します。さらに平成29年には、税理士として初めて勤務した事務所の代表が引退し、その顧問先とスタッフも引き継ぐことになります。引退した代表の事務所は元々、二つの事務所が合併してできたところだったので、川路さんを起点として三つのルーツを持つ事務所が合わさった形になったのです。

三つの事務所では業務フローが不統一だったため、至るところに生産性の低い業務が残っていました。例えば資料のファイリングの仕方一つを取ってもバラバラで、ほしい情報がどこにあるのか把握するだけでも時間がかかることがあったそうです。

事務所の生産性を向上させ、それにより捻出した時間を顧問先対応に充てるため、川路さんは業務改革に乗り出します。

まず取り組んだのは業務の標準化です。出自の異なる事務所ごとに独自のやり方をしていたため、それを見直すことにしたのです。

業務改革が上手くいくかどうかは、リーダーの覚悟にかかっています。と言うのも不格好なやり方であれ、現場では一応、業務は回っているので、強い覚悟で仕組化を徹底しないとすぐに元の状態に戻ってしまうからです。

仕組化に当たって川路さんは、グループウェアの「MyKomon」を導入し、日々の業務報告や顧問先情報、作業の進捗の共有を図りました。またクラウドストレージの「Dropbox」を使ってデータの共有も進めたと言います。

こうした取り組みが功を奏し、ベテランスタッフが退職したにも関わらず、新たな人材を補填することなく、今年の確定申告を乗り切れたそうです。

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業務が属人化していたら、少なからず混乱が生じていたと思います。確定申告の一連の流れを明示的に決めたことで、請求書の発行までの業務の効率化に成功しました。一つ一つは小さなことでも、全体で見ると大きな時間短縮になっていると思います。

こうした地道な取り組みを進めた結果、事務所を承継した平成29年の時点では110件ほどだった顧問先数は、現在では140件ほどにまで堅調に伸びているそうです。

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スタッフがやりがいを持てる環境を提供する

そんな川路さんには仕事におけるこだわりがあります。「顧問先も事務所の従業員も含めて、みんなが幸せになれるように仕事をする」というものです。

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企業の生存率が低いことが日本では定説になっています。9割の企業が設立して10年を迎える前に消えていくという話も聞きます。せっかく好きで始めた事業なのですから、できる限り長続きしていただきたいと思います。

私たちが関わることで事業が軌道に乗ったり、安定した基盤を構築して事業が発展していったり、そうした部分でサポートができたら、それ以上の幸せはありません。

事務所の従業員に関しても、「やりがいを持てる環境を作っていきたいです」と話す川路さん。

事務所スタッフの公私の充実が第一 亡き父の教えを胸に業務改善に取り組むの丸アイコン川 路
今は業務改善の道半ばで残業時間も少なくはないのですが、改善を進めた先に、仕事とプライベートの充実が待っていると信じています。

仕事が大好きだった父が、働き過ぎが原因で倒れてしまった姿を見てきた川路さん。仕事とプライベートの両立に並々ならぬ想いを持つ一方で、スタッフに対する感謝も忘れません。

事務所スタッフの公私の充実が第一 亡き父の教えを胸に業務改善に取り組むの丸アイコン川 路
業務改善や資料のファイリングについてもそうですが、うちの事務所ではスタッフからどんどんアイデアが出てくるんです。私の足りない部分を補ってくれるスタッフのみんなに助けてもらいながら、何とかやっている感じです。

今後の目標については、「第一に、みんなの残業時間を減らすことです」と言う川路さん。そのうえで、顧問先ともっと深く関わっていきたい、という願望も口にします。

事務所スタッフの公私の充実が第一 亡き父の教えを胸に業務改善に取り組むの丸アイコン川 路
どうしても目の前の業務に時間をとられてしまうことが多いのですが、もっともっとお客様と深く関わっていきたいと思っています。業務の効率化を図り、捻出した時間でお客様をはじめさまざまな方々と有機的なコミュニケーションを取りたいです。

人と関わることで新しいアイデアが生まれ、それらが積み重なって良いものができていくと思っているからです。私自身もスタッフのみんなも、それぞれがいろんな場所で活動して吸収したものをここに持ち寄ることで、どんどん良い事務所にしていきたいです。

また自分たちが仕事環境に満足していれば、顧問先に提供できる価値も高まっていくと川路さんは考えています。そのためには事務所の規模を拡大させるのではなく、第一に個々人の満足度を上げること。スタッフの満足は顧問先の満足につながり、顧問先の満足は次の顧問先の呼び水となります。

事務所スタッフの公私の充実が第一 亡き父の教えを胸に業務改善に取り組むの丸アイコン川 路
事務所の規模を大きくしたいという気持ちはありません。各スタッフの満足度を追求した結果として規模が大きくなるのならウェルカムですが、拡大そのものを目標にはしません。

ソフトな語り口が印象的な川路さんがきっぱりとそう話すのは、亡き父が身を持って示した「公私にわたる充実こそが大切」だという教えによるものなのかもしれません。

*     *     *

亡き父から、そして引退したかつての勤務先の代表税理士から事業を承継した川路さん。単にラッキーが続いたのではなく、「この人になら後を任せられる」という信頼を勝ち取っていたからに他なりません。

業務改善はまだ道半ばですが、着々と成果も出始めています。8名のスタッフが公私ともに充実し、やりがいを持って仕事をする日はすぐそこまで来ているようです。

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