2020年の税理士業界を振り返る!事務所経営の明暗を分ける要因とは?

新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年は、税理士業界にとっても先行きの見えない1年となりました。そこで、Mikatus(ミカタス)株式会社では2020年12月に「税理士業界の景況感に関する実態調査」を実施し、税理士の目から見た景況感を取りまとめました。ここではアンケート調査の概要について触れ、税理士業界で生き残るために必要なことは何か、解説していきます。

世の中の動きとは裏腹に税理士業界はやや上向きな1年だった

まずは2020年における会計事務所の売上を見ていきましょう。

Q.会計事務所の今年1年間の売上について、5段階評価でお答えください。

会計事務所の今年1年間の売上データ

半数を超える事務所が前年と比較して増収になっている結果から、コロナ禍においても税理士業界の景況はただちに悪化していないことが分かりました。
年齢別に見てみると、7割を超える若手税理士(※)が増収になっているのに対し、ベテラン税理士は4割と伸び悩み、年齢によって差があるようです。
なぜ年齢によって売上に差が出るのか。顧問先数や顧問料の変化について詳しく見ていきましょう。

※今回の調査では50歳以下を若手、51歳以上をベテランと定義しています。

全文資料「税理士業界の景況感に関する実態調査」はこちら

Q.顧問先数の増減を昨年と比較して、5段階評価でお答えください。

顧問先数の増減データ

半数以上の事務所が昨年よりも顧問先数が増えたと回答しており、減ったと回答した事務所の割合は2割となりました。年齢別では、ベテラン税理士よりも若手税理士のほうが顧問先が増えたと回答しており、若手税理士が積極的に顧問先を獲得し売上に繋げていることが分かります。

Q.会計事務所の1顧問先あたりの顧問料(平均)を昨年と比較して、5段階評価でお答えください。

会計事務所の1顧問先あたりの顧問料データ

昨年1年間でおよそ3割の事務所で顧問料が増加していることがわかります。特に、若手税理士から「顧問料が増加した」との回答が多く寄せられました。、顧問料が増加した主な要因について見ていくと、最も多かった回答は「提供役務の増加」、次いで「新サービスの提供」という結果になりました。

従来どおりのサービス提供のみでは顧問料低下は避けられないため、「提供役務の増加」や「新サービスの提供」が、売上増加のカギになると考えられます。

およそ7割の顧問先で売上・業況が悪化

次に顧問先の売上・業況について見ていきましょう。

Q.顧問先の今年1年間の売上/資金繰りの状況について、5段階評価でお答えください。

顧問先の今年1年間の売上/資金繰りの状況データ

会計事務所が好況な一方、およそ7割の顧問先で売上が悪化する結果となりました。特に中規模事務所の顧問先では、売上・業況・資金繰りが悪化しており、税務業務以外のサービスを求める中小企業が増えると予想されます。

Q.1年後の顧問先の業況は、現在と比べてどうなると思われますか。

1年後の顧問先の業況データ

2021年の顧問先の業況予想については、過半数の事務所が悪くなると回答し、良くなると回答した事務所の割合はおよそ2割にとどまりました。帝国データバンクが発表した「新型コロナウイルス関連倒産」によると、3月18日時点で新型コロナウイルス関連倒産(法人および個人事業主)は全国で1,172件。この数字は右肩上がりで増えているため、今後さらなる倒産件数増加が懸念されます。

出典:新型コロナウイルス関連倒産

2021年の会計事務所の業況予想は見通しの分かれる結果に

Q.1年後の会計事務所の業況は、現在と比較してどうなると思われますか。

1年後の会計事務所の業況データ

2021年の会計事務所の業況予想は見通しの立ちにくさから回答が分かれる結果となりました。年齢別の回答では、若手税理士で前向きな回答が多い一方、ベテラン税理士は後ろ向きな回答が多いことが目立ちます。
ベテラン税理士の顧問先獲得数の伸びがゆるやかであることや、顧問先の業況悪化を考慮すれば、ベテラン税理士にとっては今後厳しい時代になることが予想されます。

今後の税理士業界の課題

顧問先のさらなる業況悪化が見込まれる中、これからの時代に税理士が提供すべき価値とは何なのでしょうか?
そのヒントとなりそうなのが現在、会計事務所に寄せられている相談内容と顧問料を伸ばしている事務所の存在です。

Q.顧問先からの資金繰り/事業継続・事業方針に関する相談件数は昨年と比べてどう変化しましたか?

顧問先からの資金繰りに関する相談データ

顧問先からの事業継続・事業方針に関する相談件数データ

顧問先から会計事務所に寄せられている相談内容について見ていくと、資金繰り/事業継続・事業方針の相談件数がいずれも増加しています。
このことから、資金繰りの改善や事業計画書を作成し融資の依頼を行うなど、財務面における付加価値の高い新サービスの拡充が重要になってくることが分かり、自事務所が提供しているサービスについて検討する機会がすぐそこまできているのかもしれません。

まとめ

2020年は新型コロナウイルスの影響が懸念された年となりましたが、業況・売上が悪化した事務所はおよそ2割にとどまりました。顧問先数や顧問料平均が好調なことからも2020年の税理士業界は世の中の動きとは裏腹に、やや上向きな1年であったことが伺えます。一方、およそ7割の顧問先で業況・売上が悪化しており、税理士業界の見通しは立ちにくい状況が続いています。
今後は顧問料を伸ばしている事務所や事務所に寄せられる相談内容などを参考に、より付加価値の高いサービス提供が求められていくのではないでしょうか。

今回ご紹介したアンケートの全文は下記のリンクからご覧いただけます。各質問ごとに地域別、事務所規模別、年齢別に掲載しているので、今後の分析の参考としてご活用ください。

全文資料「税理士業界の景況感に関する実態調査」はこちら

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