税理士による経営支援の事例7選~トップランナーもみんな失敗に学んできた

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人は成長する生き物です。税理士としてビジネスシーンの第一線で活躍する方々も、過去には失敗や挫折に心が折れかけ、そこから這い上がってきた経験があります。

この記事では、いい税理士協会が認定する「いい税理士」および「上級会員」のインタビュー記事のまとめをご紹介します。中小企業の経営支援に強みを持つ7名の税理士は、何をきっかけに経営支援を始め、どのような成功や失敗を重ねてきたのでしょうか?7通りの物語をご覧ください。

Case01 倒産する会社を1社でも減らすのが自分の使命

「君は税理士の仕事の本質がわかっていない」。若き日の荻島宏之さん(いい税理士協会認定 いい税理士、株式会社start-with/荻島会計事務所 代表)が上司からそう叱責されたのは、駆け出しの税理士だった勤務時代です。

「経営者の話を聞いてきなさい」と言われるがまま、決算を担当していた蕎麦屋に引き返して店主に尋ねると、商品原価をどう下げるか、新メニューをどう開発するか、といった悩みを抱えていることが判明。

自分に何ができるだろう。そう思いながらも行動を起こした荻島さんは、店主が把握していなかった商品別の販売数を可視化したのを皮切りに、さまざまな施策を実施。業績が好転した蕎麦屋の店主から、想像をはるかに超える感謝の言葉をもらいました。

この経験を通して、上司に指摘された「税理士の仕事の本質」がわかった気がしたと語る荻島さん。同時に、経営者に寄り添うことの面白さも実感したそうです。

Case02 支援をあきらめた顧問先の凋落が気づきに

ひと口に経営支援と言っても、資金調達や事業改善、人材戦略などさまざまな分野があります。中でも資金調達と事業改善に圧倒的な強みを持つのが松尾繁樹さん(いい税理士協会認定 いい税理士、松尾繁樹公認会計士・税理士事務所 代表)です。

そんな松尾さんには、今でも忘れられない痛恨の出来事があります。

「お客様の中には、ご自身の考えに自信を持つあまり、私のアドバイスに耳を傾けていただけない方もいます。私のほうも、あまりにも頑なな社長にうんざりして支援をあきらめてしまったことが過去にはあります。後になってそのお客様が経営的に行き詰ったと聞いた時、社長が納得するまであきらめず、信念を持ってサポートしないと取り返しのつかないことになると思い知らされたんです」(松尾さん)

このことが大きな気づきとなり、社長の悩みには最後まで付き合うと決めた松尾さん。今では多くの企業の業績向上に貢献する、いい税理士として活躍しています。

Case03 相手の立場に立つことの大切さを知った過去の失敗

若い頃の失敗から大きな教訓を得た例は他にもあります。

「先生、それ以上の説明はもうけっこうです――」。顧問先の社長から浴びせられたこのひと言に、若き日の森本琢磨さん(いい税理士協会認定 上級会員、税理士法人森本会計 代表社員)はショックを受けたそうです。

「自分が説明した内容に間違いがあったとは思いません。今期の決算の着地はこのくらいの数字になりそうだとか、税金はこのくらいになるとか、その他の質問についてはわざわざ税法の根拠となる条文を説明したりしました」(森本さん)

追い返されるかたちとなった森本さんは、帰路につく電車の中で「何がいけなかったんだろう」と反芻した結果、「自分の説明が相手の立場に立ったものではなかったのではないか」という仮説に行き当たります。

例えば「損金」や「課税所得」といった専門用語を使うなど、相手の知識レベルを考慮しないで説明していたのです。森本さんはこのことに気づいてから、ある社長には「これは損金になりません」と伝え、別の社長には「これは税金を計算する時に経費になりません」と伝えるなど、相手の知識レベルに合わせた説明を心がけるようになったと言います。

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Case04 黒子として新ビジネスの創出を手助けする

同じ経営支援でも、中小企業の経営者同士をつないで新しいビジネスを創出するケースもあります。いい税理士協会認定 上級会員の藤本隆さん(税理士法人キーストーン神戸 代表税理士)は、こんな経験をしています。

藤本さんの顧問先に、金属加工を手掛けるA社と、プロダクトデザインを手掛けるB社があります。A社はある画期的なアウトドアグッズのアイデアを持っていますが、単独ではアイデアを形にすることができません。

コロナ禍を追い風としてソロキャンプが需要を伸ばしていること、A社のアウトドアグッズがソロキャンパーをターゲットにしていることを伝えると、俄然、興味を示すB社の社長。藤本さんを介して知り合った二人の社長は意気投合し、プロジェクトは一気に動き出します。

「お二方のコラボレーションがすばらしい商品を生み出しました。こういうのを見るのは本当にワクワクします」と語る藤本さん。本人は黒子に徹して前に出ず、アイデアと技術を結びつけるハブとして、新しいビジネスの創出を手助けしています。

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Case05 32年の税理士人生の結論は「普通ではダメ!」

1980年代半ば、バブル景気に沸き立つ東京・青山で、税理士としてのキャリアをスタートさせた鈴木正人さん(いい税理士協会認定 上級会員、株式会社本宮会計センター 代表取締役)。土地取引などで財を成したセレブリティたちから、財テクの指南役として税理士が注目される中、20代にして億単位の節税案件を手掛ける日々は「恐ろしくもやりがいのあるもの」だったそうです。

以来、30年を超えるキャリアの中で導き出した結論は、「税理士は普通ではダメ!」。地元である福島県に活躍の舞台を移した鈴木さんは、「普通ではない」サービスを展開しながら税理士人生の集大成を迎えようとしています。

30年前に中小企業の経営支援サービスを始めた鈴木さん。そんな先見の明を持つ東北地方の重鎮は、AI(人工知能)などのテクノロジーの波に押し流されると言われる税理士の未来をどう見ているのでしょうか?

Case06 アラート役として経営者に耳の痛いことも進言する

Lanchor(ランカー)の読者の中には「税理士はサービス業である」という考えをお持ちの方は少なくないかもしれません。いい税理士協会認定 上級会員の志田俊介さん(志田俊介税理士事務所)は「税理士は事務職ではなく営業職である」という信念を持っています。

「業績が悪いという指摘を喜ぶ経営者はいません。そういう話をうるさくしてくる税理士のことを、経営者は敵だと思うことさえあります。いかに味方でいながら苦しい状況にアラートを鳴らしていくか。その意味では、コミュニケーションスキルが高いことは仕事の大前提になっています。税理士業は事務職ではなく営業職だとつくづく感じます」(志田さん)

勤務税理士時代に、志田さんが担当していた顧問先が、最終的に破産に追い込まれたことがあったそうです。破産したのは事務所との顧問契約が切れた後だったとは言え、社長が窃盗まがいの事件を起こすなど、その凋落ぶりを耳にした志田さんはショックを隠せなかったと言います。こうした経験が、「アラート役として経営者に耳の痛いことも進言しなければならない」(志田さん)という強い思いにつながっていったのです。

Case07 ラブ&ピースのメッセージを届ける

最後にご紹介するのは、人気ミュージシャンの一面も持つ伊原裕伸(ゆしん)さん(いい税理士協会認定 上級会員、甲南会計事務所)です。

繁忙期の税理士の忙しさはただ事ではありません。加えて、日頃から一人で150件もの顧問先を抱える伊原さんは、睡眠時間を削ることで税理士業務と音楽活動を両立させています。

特にこの2年はコロナ対応も相まって「死ぬかと思うほど忙しかったです」と振り返る伊原さん。1日90分の睡眠時間を捻出するのがやっとだった時期もあるそうです。

普段はそんなそぶりも見せず、音楽活動と同様に税理士としても顧問先にラブ&ピースのメッセージを運ぶ伊原さんの失敗談と成功体験は、こちらでご覧いただけます。

*     *     *

一流と称される税理士さんたちも、失敗に学んだからこそ今があることがおわかりいただけたと思います。また7名に共通しているのは「税務がすべてではない」「顧問先の業績向上に貢献してこそ真の税理士」という確固たる信念を持ち、実際に行動に移しているところです。

税務申告や記帳代行といった従来業務も大切です。しかし、ますます競争が激化するこれからの税理士業界を生き抜くには、付加価値の高い仕事をしていかなければなりません。この記事が、みなさんがいい税理士を目指すきっかけになれば幸いです。

なお、いい税理士に興味のある方、いい税理士の具体的な活動を知りたい方は、ぜひ協会まで問い合わせください。

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