今年中のレベルアップを目指す人必読!税理士のスキルアップに効く経営支援に役立つ本

みなさんはスキルアップのために日々、どんな書籍を読んでいますか?実体験では得られない知識を吸収できるのが読書の良いところ。株式会社start-with/荻島会計事務所の代表を務める荻島宏之さんに、税理士として成長するうえで必読の書籍を紹介していただきました。

菜根譚

今年中のレベルアップを目指す人必読!税理士のスキルアップに効く経営支援に役立つ本の菜根譚

■ディスカヴァー・トゥエンティワン刊 ■2007年12月 ■ISBN978-4887596030

まず最初に僕の座右の書を紹介します。

『菜根譚(さいこんたん)』は中国古典の一つで、明代末期に洪自誠(こうじせい)によって書かれた随筆集です。例えば他人の弱点を責めない、逃げ道を残してやる、ゆったりと構えて相手が変わるのを待つなど、現代を生きる我々の手引きとなる格言であふれています。

僕は事務所の経営者という立場上、スタッフとの関係の中で「自分の考えが伝わらない」とか「どうしてわからないんだろう」とか、行き詰まりから怒ってしまいそうになることがあります。いわゆる「心の病みモード」です。そんな時は本書をめくって心の状態を整えるようにしています。また人生をより良くしたい、物事の捉え方や人との関り方を見つめ直したいという時にも、多くの気づきを得ることができます。

税理士は孤独だと感じている方は少なくないと思います。お客様や事務所のスタッフなど、対人関係で悩むこともあるでしょう。そんな時、内に内に入って行くばかりだとマインドがどんどん悪いほうに向かってしまいます。時には本書に触れて、今までにない気づきを得ることが大切だと思います。

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

今年中のレベルアップを目指す人必読!税理士のスキルアップに効く経営支援に役立つ本のハイ・コンセプト

■三笠書房刊 ■2006年5月 ■ISBN978-4837956662

『ハイ・コンセプト』は15年前に刊行されたものですが、現在にも通じるビジネス成功のエッセンスが盛りだくさんの内容です。具体的には、①機能よりもデザイン、②個別よりも全体の調和、③議論よりも物語、④論理よりも共感、⑤真面目よりも遊び心、⑥物事よりも生きがいという「六つの感性」が大切だと説いています。

例えば「②個別より全体の調和」。

税理士は一つの専門性、すなわち個別のことにフォーカスしていく仕事です。ただ、個別にバラバラと存在するものの中にいると、それらに意味を見出すことはできません。一段上から俯瞰して全体像を描き、個別のパーツをつなぎ合わせることで新しいものを生み出すことができるのです。

続いて「③議論よりも物語」。

他人に影響を与えようと思った時、議論して説き伏せることはできても心の底からの共感は生まれません。議論することも大切ですが、それよりも相手を動かすストーリーを伝えることのほうが重要です。

こうした考え方を15年前に提唱したのが本書です。仕事やプライベートも含めて現状に満足している人が手に取ると、「本当にこのままでいいのかな?」と思い直すきっかけになるはずです。

問題構造学入門

今年中のレベルアップを目指す人必読!税理士のスキルアップに効く経営支援に役立つ本の問題構造学入門

■ダイヤモンド社刊 ■1984年11月 ■ISBN978-4478018293

今から20年くらい前、僕が社会人になった頃に読んだのが『問題構造学入門』です。本書は問題とはどういう構造になっているのかという解説から入り、実際に問題を作ってそれを解決するという流れで説明しています。

目の前で起きている事象だけを取り上げて「問題だ」と指摘することがよくあります。しかし問題とは本来、「あるべき姿」と「現状」との間にギャップが生じている状態を指すものです。

なぜギャップは生じるのでしょうか?

その結果に至るまでには何らかのインプット(入力手段)があり、プロセス(過程)があり、制約条件があり、予期せぬ外因(外部要因)があります。そのどこに原因があるのか、そしてその原因は自分に解決できるものなのかどうかを整理しよう、というのが本書のテーマです。

簡単な例を挙げます。

お祭りで屋台の売上が平均値に届かなかったという問題があるとします。雨が降っていたというのが外因です。天候は自分には変えられません。ところがこの外因を問題としてとらえて議論するようなことが、現実の世界ではしばしば起こります。こうしたことを防ぎ、問題の構造や本質を把握するには本書の内容が役立ちます。

事務所の経営計画を立てたり、お客様の経営計画にアドバイスをしたり、あるいは自分のキャリアプランや日々の生活においても本書のアプローチを当てはめることができるので、一読の価値はあると思います。

宇宙人と出会う前に読む本

今年中のレベルアップを目指す人必読!税理士のスキルアップに効く経営支援に役立つ本の宇宙人と出会う前に読む本

■講談社刊 ■2021年7月 ■ISBN978-4065243114

宇宙中からエイリアンが集まるカフェが宇宙ステーションの中にあるとします。言葉が通じるとして、「あなたはどこから来たのですか」と聞かれた時、みなさんならどう答えますか?

「地球です」と答えた方は、残念ですが宇宙教養が足りません(笑)。数ある銀河系の中のどこに太陽系があり、そのどこに位置するのが地球なのかを説明しないと宇宙人には通じないのです。

ここから学べるのは、相手の立場に立って説明することの重要性、そして固定観念にとらわれてはいけないということです。

税理士として専門性を高めていくと、会社の経営数字を見る機会が増えると思います。税務上、損金に入る交際費を「たくさん使ってはダメです」とアドバイスしても、経営者にしてみるとチンプンカンプンかもしれません。「経営上、今後の売上に必要な経費をなぜ使ってはいけないのか」と疑問に思う経営者もいるでしょう。別の世界へ行ったら、自分の見ているものがまったく違うように見えるのは実はよくあることなのです。

『宇宙人と出会う前に読む本』というタイトルだけ見るとキワモノ系かと思うかもしれませんが、税理士の方にこそ読んでほしい一冊です。

社長が自分と自分の会社を診断する本

今年中のレベルアップを目指す人必読!税理士のスキルアップに効く経営支援に役立つ本の社長が自分と自分の会社を診断する本

■日本実業出版社刊 ■1982年2月 ■ISBN978-4534007315

すでに絶版になっていますが、中古市場で入手できる『社長が自分と自分の会社を診断する本』を最後にお勧めします。

焼き肉チェーンの牛角やベーカリーチェーンのサンマルクなどを成功させたことで知られるベンチャー・リンクの創業者、小林忠嗣さんの著書です。小林さん自身がコンサルティングをした会社を例に挙げながら、経営陣や一般社員などの人材、営業力、商品力、そして財務について言及しています。これらについて「年に1回は社長ご自身でチェックしましょう」というのが本書の趣旨です。

自社と他社とを比較・分析して自社の戦略を考える時に使う3Cや、マーケティング戦略を検討する時に使う4Pなど、経営コンサルタントが用いるフレームワークはたくさんありますが、それらを使いこなせる税理士は多くないと思います。特に中小企業に当てはめるのは難しいでしょう。

本書が紹介しているのは、中小企業の経営状態をチェックする際に役立つツールばかりです。顧問先の経営支援に携わりたい税理士の方に特にお勧めします。

*  *  *

以上、ここでは特に顧問先の経営支援に役立つものという観点で、お勧めの書籍を紹介しました。いずれも「認定いい税理士」である荻島さんがご自身のスキルアップに一役買ったと太鼓判を押すものばかり。ぜひ参考にしてください。

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