顧問料の「特別値引き」は是か非か? 値引きの際にやるべきこと

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あたりまえですが、顧問先の経営を支援する「いい税理士」は、多くの時間と労力を顧問先のために費やしています。だからこそ、その時間と労力に見合うだけの適正な顧問料を受け取るべきです。
しかし、「いい税理士」の支援を必要とする中小企業の中には、赤字の会社や起業したての会社など、資金に余裕が無く正規料金を支払うことが困難な会社もあります。そのような企業を支援する場合に、「いい税理士」はどのように対応すべきなのでしょうか。

2019年4月、わたしたちは「いい税理士」と「適正な顧問料」の関係に迫るべく、事務所経営がうまくいっている「いい税理士」さんにお集まりいただき、「『適正な顧問料』を受け取るために必要なこと」というテーマで座談会を開催しました。その際に、顧問料の「値引き」の是非についてもお話を伺いました。

>>座談会の内容についての記事はコチラ

原則、値引きはしない! では、赤字の会社は見捨てるのか?

お客様である中小企業がどんな状況であったとしても、「いい税理士」は「特別値引きはしない」というのが基本スタンスのようです。他のお客様との公平性や、事務所のスタッフのためという理由もありますが、やはり、提供価値への確かな自信があるようです。

山 取
業績が苦しい会社であったとしても、「自分のところにきたらなんとかしてやる」という強い想いがあります。事務所として、業績の改善や事業拡大の支援に自信を持っています。だからこそ、値引きをしてまで受けることは極力しません。簡単に安い料金で請け負ってしまうと、スタッフの疲弊にも繋がってしまいます。

とはいえ、本当にどうしても正規料金を支払えない中小企業もあります。支払えなかったとしても、経営者の想いや情熱にほだされて応援したいと思う時もあるのではないでしょうか。そんな時でも「いい税理士」は見捨ててしまうのでしょうか。

永 田
見捨てることがあるとすれば、それは経営者の考え方が全く変わらない時です。事業にかける情熱の欠如や、納税意識が無いなど、いくら言ってもダメなときはダメです。しかし、事業を何とかしようとしている経営者を見捨てるわけにはいきません。
横 山
大切なことは、自分たちが関わることの「価値」と「適正な価格」を必ず相手に伝えることです。そのうえで、お客様の事情を考慮します。こちらに「応援したい」という想いがあるときは、事情を考慮し、場合によっては契約段階で料金を下げることはあります。

下げざるを得ない時は、「条件」と「期限」を設ける

顧問先の業績改善に貢献する「いい税理士」としては、自分やスタッフの価値をむやみに下げることはしないものの、やはり顧問先の状況に応じて特別対応をすることはあるようです。しかし、その際に必ずやるべきことが2つあるといいます。

その1つ目は「条件」を設けることです。

横 山
大切なことは、自分たちが関わることの「価値」と「適正な価格」を必ず相手に伝えることです。そのうえで、お客様の事情を考慮します。こちらに「応援したい」という想いがあるときは、事情を考慮し、場合によっては契約段階で料金を下げることはあります。

そして、もう1つは「期限」を設けることです。特別に値引きをしていることと、その値引きが「いつまで」なのかということ。それらを顧問先との間で明確に合意し、定期的に意識づけることが重要です。

新規で開業される方の場合には、やはり資金がないところが多いので、顧問料を安くすることはあります。ですが、必ず期限を区切りますね。そして、その期限を毎月の請求書の金額欄に記載するようにしています。
正規料金と値引額を毎月記載することで、値引きされていることを意識してもらいます。さらに、値引きの期限を明記することで、いつから正規の金額になるのかを経営者に認識してもらうことができますし、ビジネスのモチベーションにもしていただけると考えています。
山 取
スタートアップ企業であれば顧問料を下げることもあります。しかし、必ず1年限定と決めています。業績が悪い会社の場合には、「未払い」扱いとすることはありますが、値引きはしません。「未払い」にしていくと顧問先の借金が増えていくことになります。そのため、売上が上がるようにアドバイスするこちら側も、さらに本気度が増していきます。

「紹介」値引きはNG 「いい税理士」は経営者にとってブランド

顧問先の信頼を獲得すると、顧問先から新しいお客様を紹介してもらうこともあります。そんな時に「紹介値引き」という形で顧問料を下げるのは、よくあるケースではないでしょうか。しかし、このような場合においても、値引きをするのが良いとは限りません。それは「事務所の売上が減るから」というのが理由ではないようです。

お客様がなぜ自分のことを紹介してくれるかというと、「人に自慢したいほど良い」と思ってくださっているからだと信じています。誰かに自慢したい、共感してもらいたい、と感じていただいているのだと思います。自分が「良いもの」だと思って身に付けているブランド品と同じような感覚かもしれません。
そのため、わたしたち税理士は、お客様のプライドであり、ステータスであり、自慢の商品でないといけません。だからこそ、安易に(顧問料を)下げるべきではないと考えています。
お客様も、わたし(芝)を紹介した相手から「あの税理士さん、安くて良かったから決めたよ」と言われるよりも、「あの税理士さん、良かったんだけど、自分には顧問料が高くて手が届かなさそうで迷っているよ」と言われた方が心地良いはずです。そういう方はきっとまた紹介してくれます。紹介されたお客様(候補)より、紹介してくださったお客様を大切にするべきだと思っています。

税理士は仕事柄、否が応でもお客様の財政状況を知ることになります。逼迫する財政状況を目の当たりにすると、顧問料に手心を加えたくなることもあるかもしれません。しかし、安易な「値引き」は自身の価値を下げ、スタッフを疲弊させることにも繋がりかねません。そして、本質的には顧問先である中小企業のためにもならないのではないでしょうか。

>>顧問先とのコミュニケーションに関する記事はこちら

>>これからの税理士像に関する記事はこちら

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