【注目企業社長インタビュー】いい税理士の条件は「心の軸」を持っていること

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三陽工業株式会社

代表取締役社長 井上直之さん

製造業と製造派遣事業を展開する三陽工業株式会社は、この4年で5件のM&Aを実施するなど規模拡大に積極的な企業です。

5年前、IPOを目指すと決めたことを機に顧問税理士を代えたと言う井上直之社長に、税理士の選定において重視した点、顧問税理士に求めるもの、そして井上社長の思う「いい税理士」の条件について伺いました。

お話をうかがった方:三陽工業株式会社 代表取締役社長 井上直之さん
1977年11月12日生まれのO型。三代目事業承継者。佐賀大学卒業後、5年間サラリーマンを経験し、2004年に三陽工業へ入社。好きな食べ物はカレーライス。すっきりタイプの目薬が必需品。
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日本の製造現場を元気にしたい

Q.貴社の事業内容について教えてください。

井上社長(以下、井上):「日本の製造現場を元気にする」をビジョンに掲げ、製造業と製造派遣事業を展開しています。製造業においては金属の研磨、レーザー加工、塗装、組立などを手掛けています。製造派遣事業においては、一般的な製造派遣とは一線を画し、約1,300人の製造派遣スタッフを正社員として採用する形をとっています。

一般的な製造派遣の場合、昇給や賞与、福利厚生など、普通の企業ならあって当たり前の制度が備わっていません。その当たり前の常識を製造派遣にも取り入れ、働く人が豊かになることを最優先として環境整備に取り組んでいます。

派遣社員ではなく「三陽工業の社員」として他社で勤務する、いわば出向に近い仕組みにしているのです。これが奏功し、おかげさまで92%という高い定着率を維持できています。

Q.従業員数を教えてください。

井上:約1,600人です。

Q.今の顧問税理士に決めた理由を教えてください。

井上:弊社はIPOを目指しているので、その実現を手助けしてくれる税理士さんと顧問契約を結んでいます。今の顧問税理士さんとは、付き合いのあった保険会社からの紹介で知り合いました。弊社がまだ小規模だった頃から30年来お世話になってきた顧問税理士さんが別にいたのですが、5年前にIPOを目指すことに決めたのを機に、今の税理士さんに変更しました。IPOに対して確かな見識のある方という条件を最優先にさせていただいた形です。

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アクセル全開の社長は税理士にブレーキ役を望む

Q.顧問税理士は貴社に対してどんなサービスを提供していますか?

井上:普段は弊社の経理課が担当する業務についてのチェックがメインですが、私が何らかの意思決定をする際、アドバイスもいただきます。

Q.どんなアドバイスが印象に残っていますか?

井上:私たちはこの4年間で5件のM&Aを実施したのですが、すべてのDD(デューデリジェンス、買収監査)を同じ顧問税理士さんにお願いしています。DDにおいては、買収によって我々が抱え込んでしまう可能性のあるリスクを合理的に洗い出してくれるので助かっています。

私自身はどちらかと言えば合理的に物事を考えるよりも、現場で実際に見て、感じたものに想いをのせて行動します。M&Aでも、例えば足元が赤字であるとか過去が赤字だったとかよりも「これからどうしていくのか」に重きを置いて考えます。

そういう意味では顧問税理士は私とは逆の考え方をしてくれ、そのことをお互いに理解しているので私にとって大きな武器になっていると感じています。

他にも、例えば子会社の業績が非常に良く、昨年まで抱えていた累損を解消できました。子会社の使命の一つである親会社に対する配当を考えた時に、私のイメージしていた配当金を大幅に下回る金額を顧問税理士さんから提案されまして、結局は先生の意見に近いところで折り合いをつけました。私がどんどんアクセルを踏んでいくのに対して、顧問税理士さんは言わばブレーキ役を担ってくれているのです。

Q.顧問税理士にどんな点を感謝していますか?

井上:IPOやM&Aについてアドバイスを求めると、非常にタイムリーに答えをいただける点です。例えば夜中にメールをしても翌朝には返信が来ています。そのレスポンスの速さにはいつも助けられています。

また冒頭でも述べたとおり、弊社は「日本の製造現場を元気にする」会社です。日本の製造現場を元気にするために一人一人が何をすべきなのか、ということを全社員が話せます。私も、営業職の社員も、管理系の社員も全員が語れるのです。それと同じレベルで今の顧問税理士さんは弊社のことについて語ることができます。なぜなら、我々のビジネスやビジョン、存在意義についての理解があるからです。

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合理性だけでは心に響く言葉にならない

Q.税理士業界は税務申告や記帳代行だけをする廉価な税理士と、財務や経営をサポートし、相応の顧問料を求める税理士とに二極化していくと言われています。

井上:その意味では、弊社の顧問税理士さんは完全に後者です。税理士は我々と同じように会社の経営数字をすべて見ることができる立場にいます。すべての数字を見たうえで財務の専門家としてアドバイスをいただけるのでありがたい存在です。

ただ、難しい面があるのも事実です。

例えば数字は数字として存在しているのですが、出てきた数字だけを見て税理士さんが理想論を語ったとしても、経営者からすると到底受け入れられるものではない、ということも起こります。

数字を作っているのは現場ですから、出来上がった数字だけを捉えて「ああしましょう、こうしましょう」と言われると、そこにはきっと反発が生まれてしまいます。

税理士である以上、いわゆる税理士業務についての技術的な軸を持っていることはもちろん必要です。私たちの顧問税理士さんはそれに加えて「心の軸」をしっかり持ってくれています。

心の軸とは、まずは我々が事業として何をしているのか、ビジョンや存在意義は何なのか、そうした根っ子の部分も含めて我々のことを深く理解してくれていることを指します。そのうえでアドバイスをしてくれるので私は非常に信頼していますし、顧問税理士さんのアドバイスは素直に受け入れることができます。

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Q.井上社長が思う「いい税理士」の条件を教えてください。

井上:技術の軸とともに心の軸を持っておられる方です。

正しいことを正しいと伝えてそれがすべて受け入れられるのであれば、人と人との間に摩擦は起きません。特に経営者には自分たちが数字を作っているという自負があるので、技術の軸だけで発言されても心に響かないことがあります。大切なのは、過去と現在の数字をもとに未来を描けること、そしてそれを心の軸を持って経営者に伝えることだと思います。

Q.今後の目標を教えてください。

井上:我々は今、仲間を求めています。約1,300人いる製造派遣事業の仲間も当然ながら増やしていかないといけません。製造派遣事業の大手は1万人を超えるスタッフを抱えていますので、我々としては追いつけ、追い越せの精神でいます。

他方では、製造業の中小企業のM&Aを進めていきます。社会問題となっている事業承継者不足と技能承継者不足を解決したいという想いがあるからです。

この二つの軸で日本の製造現場を元気にしていきたいと思っています。

*     *     *

合理性だけで人を動かすのは難しい場面もあります。井上社長の言葉を借りるなら、「心の軸」を持ち、誠意を込めて語ることではじめて人は動くのかもしれません。

過去4年で5件のM&Aを実施し、今後も規模拡大を続けていこうとする三陽工業。その隣には、確かな「心の軸」を持つ顧問税理士がしっかり寄り添っているようです。

取材協力 三陽工業株式会社

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