【中小企業社長インタビュー】67歳の約束 がんばるあなたと顧問契約を結びます

大手コンピュータ会社などでエンジニアとして活躍した後、自身が代表取締役を務める会社を設立した松本敏男さん。株式会社落雷抑制システムズという社名が示すとおり、交通施設などへの落雷を防ぐことをミッションとしています。社会貢献度の高いビジネスであることに加え、ニッチでユニークな商材を扱う松本社長は、顧問税理士である赤木葉子さん(あおい税理士事務所 代表)に対して何を求めているのでしょうか?話を聞きました。

>>>顧問税理士の赤木葉子さんのインタビュー記事はこちら

約束を果たした社長、努力で応えた税理士

Q.貴社のビジネスの特徴を教えてください。

松本社長(以下、松本):当社は2010年に設立した会社で、避雷針システム「PDCE」の開発・製造・販売を手掛けています。PDCEは、落雷をあえて誘導するように放電し、電流を地面に逃がす従来の避雷針とはまったく異なる原理で設計したものです。具体的には、避雷針の上部を雷雲と同じマイナスの電極にして、放電しないことで雷を落としにくくするのです。今年の東京オリンピック・パラリンピックでは35の会場に約100台が導入されるなど、実績のある製品だと自負しています。

Q.今の顧問税理士と出会ったのはいつですか?

松本:今の顧問税理士さんは、あおい税理士事務所の赤木葉子さんです。私が当社を創業してほどなく、赤木さんは横浜の大手税理士法人の一スタッフとして当社の担当になりました。その頃はまだ税理士登録をしておらず、資格を取得したばかりだったと記憶しています。会えばわかってもらえると思いますが、「将来、独立開業した暁にはあなたに顧問税理士を頼むから、税理士修行をがんばってね」と思わずエールを送ってしまうほど、一生懸命で人柄の良い方です。

Q.実際に顧問税理士になってもらったんですね?

松本:当時の私の発言を赤木さんは社交辞令だと思ったかもしれません。しかし私は約束は守ります。3年前に赤木さんがご自身の事務所を開業したタイミングで、正式に顧問契約をお願いしました。それまでの顧問税理士だった大手税理士法人にまったく不満はなかったのですが、「赤木さんとの約束を守りたいので」と断らせていただいたんです。

顧問先の問題点を先回りして解決する

Q.赤木さんは普段、貴社に対してどんなサービスを提供しているのでしょうか?

松本:月次決算や期末決算などに加え、昨今のコロナ禍で申請できる補助金などについても丁寧に教えてもらっています。また当社には特許、標章登録、意匠登録などの知財が約120件ほどあります。今まではそれらにかかった費用を通常の経費としていたのですが、資産計上したほうがいいと指摘してもらい、過去にさかのぼってすべて資産に書き換えてもらったりもしました。

Q.一般的な税務以外の部分もサポートしているんですね。

松本:はい。他にも当社が設立して間もなかったころ、私以外に社員が2名おりまして、そのうちの1名と私が共同で行った職務発明(自分の職務での発明)があるんです。当時は社内規定が整っておらず、発明品の報酬がうやむやのままになっていました。会社に余裕が出てきた今、そういう規定をきちんと整備しなければいけないと考えた赤木さんは、特許を含む知財に関する社内規定を作ってくれました。その裏では、おそらくものすごく勉強したんだと思います。

私と共同で発明をした方はすでに亡くなっているのですが、その相続人の方に「事後報告で申し訳ないのですが」とお断りを入れながら、報酬を分配させていただきました。職務発明の社内規定も、赤木さんが作ってくれたものです。分配額の相場についても赤木さんが調べてくれ、先方にもご納得いただくことができました。

Q.松本さんにとって、良い税理士とはどんな人でしょうか?

松本:私はもともとエンジニアだったので、お金の流れなどの財務面についてはそれほど明るくありません。サラリーマン時代は特にお金には無頓着でした。そういう意味では、財務のプロフェッショナルという立場から赤木さんにアドバイスをもらえるのは非常にありがたいと思っています。

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後継者不在、将来の事業承継は税理士の出番

Q.会社の将来に対して不安はありませんか?

松本:私は来年、71歳になります。「若手社員の育成なんて面倒くさい」と思い、この歳まで人材を育成してこなかったため、当社には後継者がいません。当社の製品やビジネスの中身について精通している人がいないので、例えば私がコロナで倒れたりしたら会社はまずいことになるかもしれません。なにぶん私一人で営業部長や技術開発部長、販売促進部長、総務部長など、いくつもの役割を兼務して回している小さな会社です。将来にまったく不安がないと言ったら嘘になります。

Q.事業承継についてどうお考えですか?

松本:雷が落ちて良いことは一つもありません。落雷の被害を抑えるのが私の使命です。これまでに培ってきた落雷抑制のノウハウやPDCEをはじめとする製品群は、世の中を良くするために残していきたいと思っています。そうすると、M&Aによる事業承継が不可欠になるでしょう。その時は資産価値の算定なども必要になりますから、赤木さんに活躍してもらう場面がまた来ると思います。

社会インフラを災害から守りたい

Q.将来の夢を教えてください。

松本:二つあります。一つは風力発電を落雷から守ることです。風力をはじめとする自然エネルギーの活用は未来につながるものだと思っています。風力発電が盛んなヨーロッパは、北海道よりも緯度が高いため雷が少ないんです。実際、風力発電施設の停止原因に占める落雷の割合は、10%に満たないというデータがあります。一方、日本における割合は24%。風力発電施設の停止原因のおよそ4分の1は落雷なんです。その割合を下げ、日本の風力発電に文字どおり追い風を吹かすことができるのは弊社しかいないと思っています。

もう一つの夢は、MaaS(マース:Mobility as a Service)の普及に貢献することです。私のような高齢者が運転免許証を返納して交通弱者になるという問題があります。この解決策として、自動運転の車を普及させ、交通弱者の足として活用することが期待されています。その際、絶対に防がなければならないのは信号機が停止することです。

自動運転と言うと自動車メーカーの取り組みばかりが注目されますが、交通インフラである信号機も進化していかなければなりません。高速道路だけでなく、一般道を自動運転の車が走る時代は遠からずやって来ます。その時、信号機は太陽光でバックアップする自律型の電源装置を持つ形にする必要があります。

そうした高機能な信号機を落雷から守り、交通インフラを維持することもMaaSの実用化に向けた大きな課題です。当社のミッションやビジョンについては、もちろん赤木さんにも共感してもらっています。顧問先のビジネスを理解しようという姿勢を持つことも、いい税理士の資質の一つではないでしょうか。

*     *     *

地球温暖化の影響で、落雷は増えていくと指摘されています。そうした状況の中、社会インフラを災害から守るという重要なミッションを背負い、自社プロダクトの進化を加速させている落雷抑制システムズ。その舵取りを一手に担う松本社長の隣には、同社のニッチでユニークで、なおかつ社会貢献度の高いビジネスに共鳴する顧問税理士、赤木葉子さんの存在があります。

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取材協力 株式会社落雷抑制システムズ

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