AI時代に頼られる「いい税理士」になるカギは経営者への”感謝”

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Mikatus(ミカタス)では、定期的に「いい税理士」さんを本社にお招きして全社員でお話を伺う機会を設けています。2019年5月に、30歳という若さにして多くの中小企業経営者に信頼されている、志田俊介税理士事務所の志田俊介さんにお越しいただきました。
社員からの質問も交えて、「顧問先の経営者とどのように関わっているのか」「今後の税理士はどうあるべきか」等についてお話いただきました。志田さんのお話を通して、「いい税理士」とは何か、考えていきたいと思います。

経営者の「関心事」を提供して話を引き出す

志田さんが経営者と話をされるときに、強く意識されていることをまとめると次の通りです。

・経営者が理解できるように、情報をシンプルに整理してお伝えする
・経営者が聞きたい話題を正確に判断して、自分から提供する
・経営者に刺さる論点を抽出して、経営者に話してもらう

そのため、月次のやり取りの中で経営者にお渡しする資料は、A4の紙1枚にシンプルにまとめているそうです。この資料は、税理士が仕事をしていることを経営者にアピールするためのものではなく、経営者から喋ってもらうためのコミュニケーションツールという位置づけです。

志 田
大切なことは、経営者に喋ってもらうということです。資料としては、簡素なものに見えるかもしれませんが、喋ってもらうには最適な分量です。資料や情報が多すぎると、社長は「うーん」と、黙ってしまいます。だから、私からの報告は短くていいのです。

経営者を褒めて、褒めて、褒めて、改善点は最後に一つだけ

さらに、年に一回の決算の後に経営者にお渡ししている財務分析レポートについて解説していただきました。こちらはA4で10枚程になりますが、ポイントは「とにかく経営者を褒めること」とのこと。

志 田
ずっと自社の悪いところばかり聞かされると、経営者は「もう聞きたくない」となってしまいます。褒めてモチベーションが上がったところで、改善点はどこにあるのか、よりよい経営を目指すにはどうすればいいのか、を一緒に考えてもらうようにしています。

レポートを作成する際に気を付けているのは、わかりやすい言葉を使うこと。専門用語やビジネス英語は使わず、相手にとって聞きやすい報告を心がけているとのことでした。

経営者への感謝の気持ちがなければ、信頼は得られない

「どのようにして経営者から信頼を得ているのですか?」
社員からの質問に対して、志田さんは次のようにお答えになりました。

志 田
経営者に対する感謝や尊敬の気持ちを忘れないことです。
その会社を動かせるのは、経営者しかいません。私なんかには、動かせやしないんです。

志田さんは、領収書や帳簿を見せていただくときも、感謝を伝えるとともに「お預かりします」と言って受け取られるそうです。
税理士や会計事務所の職員のみなさんは、会社や経営者のお金の状況を見せてもらうのがあたりまえだと思いがちです。しかし、経営者からすると、何にお金を使っているのかを他人に知られたり、経営がうまくいかず現金が減っていく様を他人に見られるといったことは、決して気持ちのいいことではありません。

志田さんが、税理士という「資格」に甘んじるのではなく、敬意と尊敬をもって経営者と日々接している様子を伺うことができ、社員からは感嘆の声が上がりました。

若者が働きたいと思える魅力ある業界にしたい

志田さんは、「税理士業界を変革したい」という強い信念をお持ちです。そんな志田さんに、「税理士は今後どうあるべきか」というテーマをぶつけてみました。

志 田
大前提として「しっかりとした人間であること」が求められると思っています。礼儀や挨拶、身だしなみ、デリカシー、一般常識、およそビジネスの現場で必要とされることを身に付ける、ということです。
ビジネスについては、私たち税理士よりも経営者の方が圧倒的に上の立場です。そのことを、税理士自身が認識し、尊敬の念をもって経営者と接しなければなりません。

そして、最後にどのように税理士業界を変革していきたいのかをお伺いしました。

志 田
若い人が、税理士や会計事務所の職員として、活き活きと働ける環境を作りたいと考えています。会計事務所が若い人にとって魅力的な職場になれば、会計事務所業界に人が集まるようになります。人が集まれば労働効率もあがるし、色々なことが生まれていくと思います。賃金や職場環境を改善し、若者が働きたいと思える業界にしたいです。

志田さんとのパネルディスカッションを終えて

志田さんのお話をお伺いして、改めてMikatusが考える「いい税理士」の理想像に近い方だと感じました。
嬉しかったのは、そんな志田さんが私たちMikatusを頼りにしてくれているということです。

志 田
システム面だけでなく、Mikatusさんが発信してくれている「いい税理士」の情報にも期待しています。 孤独な闘いを繰り広げている税理士にとって、同じ思いで活動している「いい税理士」の記事は、励みになります。「一人じゃないんだ」という勇気を与えてくれます。

今回、志田さんにお越しいただくにあたり、事前に社員から先生への質問を募集しました。約50の質問が寄せられ、限られた時間の中では全てを伺うことができませんでした。質問だけでも見てもらいたいと印刷して後ほどお渡ししたところ、なんと、数日も経たないうちに、全ての質問に丁寧に回答いただきました。
社員もみんな感動して、より一層、志田先生のファンになりました。中小企業の経営者が、志田さんに信頼を寄せる理由を垣間見た瞬間でした。

「いい税理士」とは何か?その条件を明文化した記事も合わせてお読みください
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「いい税理士」を志すみなさまの体験や考え方から「いい税理士」を読み解きます。
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