会計事務所の労働環境、実はブラック?ホワイト?データから見える改善策

ご自身の事務所の労働環境について、事務所の経営者である皆さんは満足していらっしゃいますか。自事務所の働き方について課題を感じていたり、他事務所の雇用状況はどうなのかと気になっていたりする方もいるかもしれません。

今回、2020年11月にMikatus株式会社(以下Mikatus)がおこなった「税理士業界における人材・採用・教育に関する実態調査」の結果を一部ご紹介しながら、税理士事務所の労働環境について、現在の状況と今後の課題点についてご紹介していきます。

>>人材育成アンケートに関する記事はこちら

アンケート結果から見えてくる、税理士事務所の労働環境

まずはスタッフの平均在籍期間からご紹介してきます。

Qスタッフの平均在職期間はどのくらいですか。(代表税理士を除く)

在職中の方の平均在職期間

調査によると、半数以上の事務所でスタッフが5年以上の長期在籍をしていることがわかります。
税理士事務所は専門スキルが必要ということもあり、長期的な在籍になることが多いようです。

長期的に在籍している人が多ければ労働環境は良いはずだ、と思うかもしれませんが、実はそうでもないようです。改善すべき課題の1つとして見えてきたのが残業時間です。

Q1ヶ月あたりの平均残業時間はどのくらいですか?

1ヶ月あたりの平均残業時間

まず通常期の平均残業期間を見てみると、30時間以内が全体の約7割となっています。厚生労働省が発表している「週労働時間別雇用者等の推移」によると、週35時間未満の労働者の割合が29.9%(平成27年)しかいないため、通常期は残業時間がとても少ない傾向であることがわかります。

出典:「我が国における時間外労働の現状」

とはいえ、税理士業界は通常期と繁忙期における業務量の差が大きいことで有名です。繁忙期では、残業時間はどのように推移するのでしょうか。

Q1ヶ月あたりの平均残業時間はどのくらいですか?(繁忙期)

1ヶ月あたりの平均残業時間(繁忙期)

繁忙期は、過労死の認定ラインといわれる80時間以上が23.3%という結果になりました。
先程の厚労省のデータによると、残業時間が週60時間以上の労働者の割合は8.2%しかいないため、それと比較しても繁忙期の忙しさはかなりのもの。通常期と繁忙期の差がとても大きいことが今回の調査からも明らかになりました。

全文資料「人材・採用・教育に関する実態調査」はこちら

税理士業界の雇用についても課題が見つかる

通常期と繁忙期の残業時間について、データと共にご紹介しました。では、それ以外にはどのような課題があるか、見ていきましょう。

まずはスタッフの働き方についてです。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、社会的に働き方の変化がありました。そのなかで争点となっていたのが、在宅勤務の対応です。
税理士業界における在宅勤務について、現在はどのような状況なのでしょうか。

Qスタッフの働き方について教えてください。

スタッフの働き方

在宅勤務NGと回答した事務所が40%、在宅勤務OKと回答した事務所が57.8%と、二極化が進んでいることが明らかになりました。

Mikatusでは、2020年6月のコロナ禍にもテレワークの実態について調査を実施していましたが、この時は、「テレワークの予定なし」と答えた事務所が30%という結果でした。事態が落ち着いた結果、出勤して業務を行う事務所が増えていることがわかります。

もちろん出勤しないと対応できない業務も多いからこそ、在宅勤務を推奨できないという難しさもあるでしょう。しかし調査を進めていくと、意外な部分の改善が後回しになっている現状も伺い知れます。

Q事務所内の勤怠管理をどのように行っていますか。

勤怠管理

注目すべきは、「何もおこなっていない」19%、「紙に記録」23%、「タイムカード」21%と、約6割の事務所で、未だにアナログの勤怠管理が行われていることです。
当然この管理方法では、事務所に出勤しないと勤務実績を確認することはできません。こういった小さいタスク管理からデジタル移行を進めていくことで、在宅勤務を始め、柔軟な勤務形態も取れるようになっていくのかもしれません。
テレワーク化、リモートワーク化が当たり前になりつつ現代社会において、このままでは税理士は時代から取り残される。もしくは、人材の確保が難しくなっていくのではないでしょうか。

全文資料「人材・採用・教育に関する実態調査」はこちら

会計事務所がスタッフの満足度向上のために取り組みたい、2つの改善策

アンケート結果から、税理士事務所の労働環境の課題として「繁忙期の忙しさ」と「在宅勤務を阻む旧態依然としたアナログ管理」という実態が見えてきました。普段の業務に追われていると、当然のこととして受け入れがちなこれらの課題。改善策にはどのようなものがあるか、最後にご紹介していきます。

繁忙期への対策

アンケート調査では、繁忙期の忙しさが露呈した一方で、繁忙期でも通常期と変わらない残業時間の事務所があったことも事実です。こうした事務所の一部では、繁忙期に短期でスタッフを雇うといった対応をしているようです。
多くの事務所が、「雇用する=社員やパートの長期的な雇用」という考えになりがちかもしれません。しかし、短期的にスタッフを雇う、一部の業務を外注するという選択肢を持つことで、繁忙期の忙しさを緩和させ、より良い労働環境を整えることができるかもしれません。

管理システムや会計システムを中長期で検討

また今回の調査では、勤怠管理を紙や対面でおこなっている事務所が多くいらっしゃることが明らかになりました。「慣れているから」という理由でその方法を取っているのかもしれませんが、DXやテレワーク等に見られるように、世の中は変化を続けています。
勤怠管理に限らず、労働環境を改善するために必要な制度や仕組みを適宜見直していくことは、今年のような緊急事態が発生した際、柔軟に対応できるか否かのカギになります。

パソコンやITの知識に自信がないという方は、次の繁忙期を見据えて勤怠管理のデジタル化や会計システムのクラウド化、仕訳入力端末のノートパソコン化など、ひとつずつ進めてみてはいかがでしょうか。
日頃から準備をしておくことで緊急事態に素早く対応できるだけでなく、人手不足の解消や業務の効率化など、勤務環境の改善も期待できるのではないでしょうか。

自事務所の勤務環境を見直すことが改善の第一歩

今回のアンケートでは、人材・採用・教育と3つのジャンルに分け、みなさまの日常業務について調査を進めました。
調査結果からも同じ業界、同じ規模感だとしても、人材育成や事務所の体制は千差万別だと見て取れます。

「他事務所の勤務環境はどうなんだろう」「自事務所で改善点できるところはどこだろう」と興味を持たれましたら、ぜひアンケート結果を参考にしてみてください。

全文資料「人材・採用・教育に関する実態調査」はこちら

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