「いい税理士」が稼ぐためのカギ!スタッフが「事務所」を語れるか?

Lanchor(ランカー):「いい税理士」が稼ぐためのカギ!スタッフが「事務所」を語れるか?

「いい税理士」として稼ぐためには、顧問先の経営を支援すること。そして、自分が提供する「価値」を明確に伝えることが重要です。

しかし、代表税理士だけが価値を伝えられるだけでは十分とはいえません。顧問先に対して、一緒に価値を提供する事務所スタッフも、価値を語れるようになるべきです。

そのためには、代表税理士はスタッフの成長をサポートしなければなりません。今回は、神戸で開催した「いい税理士」座談会の内容から、スタッフの成長を促し、事務所の価値を語れるようになってもらうために、みなさんが実践されていることをご紹介します。

>>今回の記事の前編に当たる神戸座談会の記事はコチラ

なぜスタッフが事務所の価値を語らなければならないのか?

▼ご参加頂いた「いい税理士」を志すみなさま ※五十音順

氏名 事務所名/会社名 事務所所在地
伊原 裕伸 様 甲南会計事務所 兵庫県神戸市
髙橋 保男 様 みそら税理士法人 兵庫県姫路市
藤本 隆  様 税理士法人キーストーン神戸 兵庫県神戸市
髙橋さん(左)、藤本さん(中央)、伊原さん(右)by Lanchor(ランカー)

お話を伺った3名の「いい税理士」を志すみなさんは、「顧問先の『経営』に貢献する」ことこそが、自分の価値だという強い想いをお持ちです。

その想いを経営者に明確に伝えているからこそ、一般的な税理士の顧問料相場よりも高い顧問料をいただくことができる。つまりは稼ぐことができています。

しかし、「代表税理士だけが価値を語れるだけではマズイ」というのがみなさんに共通した課題意識でした。

伊 原
自分は「経営者を応援したい」という想いを、顧問料が高い理由と合わせて熱く語ります。事務所のスタッフにも同じようにしてほしいと思っていますが、これは実は簡単なことではありません。

髙 橋
我々とお付き合いいただければ、必ずその会社の業績を上がてみせるという自信があります。だからこそ、高い顧問料をください、と伝えることができます。ただ、うちのように規模が大きく(※)なってくると、事務所スタッフがお客様に対してきちんと自信を持ってそれを言えるようにならないといけません。

※髙橋さんの事務所は24名規模(座談会当時)

>>事務所規模の拡大にも繋がった、髙橋さんの「いい税理士」を志したエピソードはコチラ

事務所の価値を正しく伝えられるのが代表税理士だけだとすると、その価値が伝わる顧問先の数には限界があります。また、事務所の規模が大きくなればなるほど、スタッフがコミュニケーションをする顧問先の数は必然的に大きくなります。

代表税理士に代わって、スタッフが事務所の価値をしっかりと伝えられるようになる。そうすれば、より多くの中小企業に事務所の価値を理解してもらうことができる。結果的に、事務所として稼ぐことができるようになります。だからこそ、スタッフの成長をサポートすることが大切です。

事務所スタッフが価値を語れなくてはいけない by Lanchor(ランカー))

スタッフは事務所の価値を語ることができるのか?

スタッフが事務所の価値を語れなければならない、とおっしゃる座談会参加者のみなさん。しかし、スタッフが事務所の価値を正しく語れるようになるには、事務所の理念や方針がスタッフに浸透していなければなりません。では、実際にみなさんの事務所では、どのくらい事務所の理念や方針が浸透しているのでしょうか。

藤 本
個人差はあると思いますが、パートさん含め全員(※)が、事務所の理念や方針を理解してくれています。また、うちの事務所は経営者感覚を持っているスタッフが多いと思います。みんながそれぞれ自分の言葉で事務所の価値を伝え、自分でお客様を見つけてくる努力をしてくれています。

※藤本さんの事務所は、スタッフが6名、パートさんを含めると13名体制(座談会当時)

 

髙 橋
「赤字のお客様であっても黒字化させてやる!」という想いは、事務所として強く打ち出しています。スタッフも、全員とは言いませんが、そういう心構えでお客様と接してくれていると感じています。

髙橋さん(左)、藤本さん(中央)、伊原さん(右)by Lanchor(ランカー)

みなさんの事務所では、スタッフさんも事務所の価値を理解し、顧問先に対しても伝えている様子が伺えました。

言葉で伝えて、やって見せて、浸透させる

では、みなさんは、事務所の価値や方針をどのようにスタッフに浸透させ、成長をサポートされているのでしょうか。

藤 本
私は年に一回、経営発表会を事務所内でおこない、時間をかけて事務所の経営理念や方針等について話します。その際、私が「いい税理士」を志すキッカケとなった「フレンチレストランの話(※)」も毎年します。スタッフを採用する時にもこの話を必ずして、自分たちが顧問先とどういう関わり方をしたいのかを伝えています。

※藤本さんのフレンチレストランの話についてはこちらの記事をお読みください。

 

髙 橋
年初に事務所のミッションやビジョン、その実現のための行動指針や経営計画をまとめた資料(※)を作成し、全スタッフに伝えています。そして、半年に1回は振り返りをおこない、方向性の再確認や達成度合いを確認し合うようにしています。

※資料には経営方針、事業計画、採用方針、事務所として大事にしたい価値観等が数十ページにわたって記載されている

経営理念をスタッフに伝えるための資料 by Lanchor(ランカー)
髙橋さんがスタッフに事務所の方向性を伝えるために作成している資料

スタッフ全員の前で、代表自らが事務所の方針をしっかりと語る。しかし、年に1回や2回、全体に説明するだけでは、スタッフに十分に浸透するまでには至りません。

特に事務所の規模が大きくなればなるほど、スタッフ間での温度差や理解度にばらつきが生じてしまいます。そのため、しっかりと定着させるためには、定期的なミーティングや勉強会が有効です。

髙 橋
お客様に接するフロントスタッフを中心に、定期的にミーティングをおこなっています。税法などの勉強会とは明確に切り分けて、お客様の経営をどうやって支援していくべきかという観点でのミーティングです。コンサルティング会社から学んだ内容を深掘りしたり、個別のお客様の経営課題について議論する場を設けたりしています。

ミーティングの数が多くなると、顧問先を訪問したり、作業する時間が削られることになります。それでも、スタッフ全員が事務所の方針をブレずに共有するためには、ミーティングや対話を重ねて、想いや考えを伝え続けることが必要です。

一方で、言葉だけでなく「背中で見せる」という手法も欠かすことはできせん。

髙橋さん(左)、藤本さん(中央)、伊原さん(右)by Lanchor(ランカー)

伊 原
うちの事務所は、母が所長を務めていることもあり、自分より年上のスタッフさんが多いです。当初は「所長の息子が入ってきた」からのスタートで不安もありました。だからスタッフを教育するというより、とにかく自分がやっている姿を見せて、事務所が目指すべき方向を知ってもらうという感じです。

>>ミュージシャンから税理士へ。異色の経歴を持つ伊原さんの「いい税理士」を志したキッカケはこちら

みなさんそれぞれの立場で悩みや課題を抱えながらも、スタッフに事務所の方向性を理解してもらい、成長してもらうために試行錯誤されているようです。

スタッフの成長のためにこそ、経営支援に舵をきるべき

スタッフの成長のためには経営支援に舵をきるべき。これが座談会の議論でたどり着いた結論の一つです。

藤 本
中小企業の経営者ってすごいんですよ。才能もあるし人間的な魅力もある。経営支援に舵を切ることで、その才能や人間的魅力にダイレクトに触れることができる。すごく勉強になります。事務所スタッフが顧問先の経営のことを意識し、人間的に成長するという面でも、非常に貴重な経験だと思います。

当然ながら、経験の少ないスタッフにとって、経営者の言葉を理解し、適切な返答をすることは簡単なことではありません。

ですが、経営者とスタッフがちゃんとコミュニケーションをとれるかどうかは、経験よりも、そのスタッフがその会社や経営者に対して、興味を持てるかどうかだといいます。

藤 本
自分(スタッフ)が経営者の壁打ち相手になることで、その会社の経営が少しでも良くなる。そこに喜びを感じてくれさえすれば、コミュニケーションはなんとかなるし、スタッフ自身も成長できると思います。いかにその想いをもってもらうかですね

税務顧問から経営支援に。事務所の方針を転換するのは、容易なことではありません。変化を嫌うスタッフとの間に軋轢が生じることもあります。しかし、スタッフの成長のためにも、その軋轢をも乗り越えていく覚悟が代表税理士には求められます。

藤 本
事務所として経営顧問に舵をきったときには、やはり税務中心で仕事をしてたスタッフとの軋轢が生まれました。彼らには事務所の屋台骨を支えてきたという自負もありますから、その反応は理解できます。でも、たとえスタッフから反対されたとしても、事務所の代表である自分が信じた道であれば、根気強く続けていかなくてはならないと思います。

髙橋さん(左)、藤本さん(中央)、伊原さん(右)by Lanchor(ランカー)

 

いかがでしたでしょうか。成長をサポートしながら、スタッフにも事務所の価値を語ってもらえるようにする。それが今回の座談会で見えてきた事務所として稼ぐための秘訣です。

「いい税理士」を志すみなさまが、試行錯誤して創り上げてきた信念や方法論が、読者のみなさんのヒントに少しでもなればと思います。

 

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